761 / 805
後日談
2
しおりを挟む
リラが三人目となる女の子、カレンを産んだ三ヶ月後、アシュリーが産気付いた。
ジアンは両親の部屋、寝室の手前に有る部屋のカウチで、祖父母と一緒に居るが、寝室の扉は少しだけ開いており、中の様子が聴こえて来る。
アシュリーの叫び声に、ジアンは不安で仕方無い。
ジアンも望んだ事とは言え、アシュリーがこれ程の苦痛を伴うとは思ってなかったのだ。
真っ青な顔で震えるジアンに、ジルギリスとリリーは両側からジアンの肩を抱き、震える手を握る。
「大丈夫よ。これは母親になる通過儀礼だから。腕の良いお医者様も付いてるし、ジーンが傍に居るから大丈夫。ジアンの時も、ジーンがずっと傍に居て、ジアンが産まれるのを待っていたのよ」
「私達は待つ事しか出来ないが、一生懸命祈って応援しよう。そして、産まれて来たら、沢山可愛がって、確りと守って上げようね」
そうしてどれ程の時が経ったのか、寝室から、元気な産声が聴こえて来た。
「……産まれ、たの?」
「ああ!無事に産まれたようだ」
「元気な産声ねぇ!ほらジアン。先に会いに行きなさい」
「うん!」
寝室へと駆け寄り、ノックをするジアン。
中からジーンの返事が有り、顔を覗かせれるだけ扉を開ける。
「父様、入っても良い?」
「勿論だ。おいで」
ジーンに近付くとジーンは腕の中の赤子をジアンにも見えるように屈む。
「ジアンの妹だよ。抱いてご覧。落とさないように気を付けて」
恐る恐るジアンが腕を出し、思いの外ずっしりとした赤子を抱き止める。
「色合いは私だが、アーシュに似たようだ。ジアンも私と共に、この子を守ってくれるか?」
「うん。約束するよ、僕。……名前は?この子の名前はもう決まってるの?」
「名前はアイリス。アイリス=エヴァンスだ。お祖父様とお祖母様にも、アイリスを会わせてあげよう。後、階下に来ているお客人にもだ」
「うん!アイリス、僕が君のお兄ちゃんだからね♪他の皆にも会わせてあげるからね♪」
ヨタヨタと大事そうに抱えるジアンに、女医が付き添う。
ジアンが危なっかしいのも有るが、疲れているアシュリーを休ませる為でも有る。
そうしてジアンはアイリスを連れて寝室を出、アイリスを抱えたままジルギリスに抱き上げられて、クルルフォーン家の皆とアナスタシアが居る階下へと下りていった。
「僕の妹のアイリス=エヴァンスだよ♪皆、僕と同じように仲良くしてね!」
この日のエヴァンス家では、新しい生命の誕生に祝いの宴を開き、夜遅くまで賑わっていた。
ジアンは両親の部屋、寝室の手前に有る部屋のカウチで、祖父母と一緒に居るが、寝室の扉は少しだけ開いており、中の様子が聴こえて来る。
アシュリーの叫び声に、ジアンは不安で仕方無い。
ジアンも望んだ事とは言え、アシュリーがこれ程の苦痛を伴うとは思ってなかったのだ。
真っ青な顔で震えるジアンに、ジルギリスとリリーは両側からジアンの肩を抱き、震える手を握る。
「大丈夫よ。これは母親になる通過儀礼だから。腕の良いお医者様も付いてるし、ジーンが傍に居るから大丈夫。ジアンの時も、ジーンがずっと傍に居て、ジアンが産まれるのを待っていたのよ」
「私達は待つ事しか出来ないが、一生懸命祈って応援しよう。そして、産まれて来たら、沢山可愛がって、確りと守って上げようね」
そうしてどれ程の時が経ったのか、寝室から、元気な産声が聴こえて来た。
「……産まれ、たの?」
「ああ!無事に産まれたようだ」
「元気な産声ねぇ!ほらジアン。先に会いに行きなさい」
「うん!」
寝室へと駆け寄り、ノックをするジアン。
中からジーンの返事が有り、顔を覗かせれるだけ扉を開ける。
「父様、入っても良い?」
「勿論だ。おいで」
ジーンに近付くとジーンは腕の中の赤子をジアンにも見えるように屈む。
「ジアンの妹だよ。抱いてご覧。落とさないように気を付けて」
恐る恐るジアンが腕を出し、思いの外ずっしりとした赤子を抱き止める。
「色合いは私だが、アーシュに似たようだ。ジアンも私と共に、この子を守ってくれるか?」
「うん。約束するよ、僕。……名前は?この子の名前はもう決まってるの?」
「名前はアイリス。アイリス=エヴァンスだ。お祖父様とお祖母様にも、アイリスを会わせてあげよう。後、階下に来ているお客人にもだ」
「うん!アイリス、僕が君のお兄ちゃんだからね♪他の皆にも会わせてあげるからね♪」
ヨタヨタと大事そうに抱えるジアンに、女医が付き添う。
ジアンが危なっかしいのも有るが、疲れているアシュリーを休ませる為でも有る。
そうしてジアンはアイリスを連れて寝室を出、アイリスを抱えたままジルギリスに抱き上げられて、クルルフォーン家の皆とアナスタシアが居る階下へと下りていった。
「僕の妹のアイリス=エヴァンスだよ♪皆、僕と同じように仲良くしてね!」
この日のエヴァンス家では、新しい生命の誕生に祝いの宴を開き、夜遅くまで賑わっていた。
0
お気に入りに追加
9,264
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる