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後日談
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元ゴート邸、今ではグリマード邸となった邸は、街の郊外に建つ。
ディーランの国では、王都以外の領地に建てられた貴族の館の殆どは、自領の領都から少し離れた郊外に建てられる事が多い。
少々不便では有るが、様々な面で都合が良いので、街の中心部に建て直そうとする貴族は居ない。
馬車はそのまま街を横切り、グリマード邸へと向かって行った。
元々、植物学者は少ないし、あちこちに移動するか、居ても王族や王宮勤めが多いので、高額だったり他の仕事で断られたりと、捕まえる事自体が難しい。
その上、成果が出なくても、衣食住には困らず、金になるからと言う、騙りも居る程だ。
まぁ、当然騙りは重罪だし、殆どの植物学者達は王宮に認可登録を受けている為、定期連絡や所在地報告の義務が有るが、その代わりに、認定証と騙りを徹底的に取り締まって貰う事で、その名と地位が守られている。
特にネイルは、只の植物学者では無い。高位の貴族位を持つ植物学者だ。
当然貴族名鑑にも、その名と顔が載っているから、ネイルの名を騙れば直ぐバレる。
地方の貴族は、植物学者のネイルが高位貴族のネイル=グリマードと同一人物とは思っていなかったりするが、王都に通う上位貴族からすれば有名な話なのだ。
そんな話をジーンから聞きながら、元ゴート邸だったグリマード邸に到着したアシュリー達を出迎えたのは、アシュリーにとっては懐かしい実家とネイル夫妻、そして、多くの使用人達。
今は頭を下げて居るので顔は見えないが、その使用人達の顔ぶれの殆どは、アシュリーの幼少期を知る、父親に不当解雇された者達だ。
まだ目が赤いアシュリーの手をジーンに取られ、馬車から降りると、年嵩の一人の執事が顔を上げて、歓迎の挨拶を口にする。
「ようこそお出で下さいました、エヴァンス侯爵家の嫡男ご夫婦様。そして、お久し振りですアーシュ様」
「っ!!じっ……爺や?爺やのエルン?」
アシュリーの記憶の中の彼より、かなり年老いてはいるが、幼少の頃に、共に過ごした事の有る執事に間違いは無い。
彼はアシュリーの祖父の代から働いていた執事で、真っ先に解雇された内の一人だ。
「はい。大きく……美しくなられて。こんな年寄りですが、他の使用人達の教育指導者として、グリマード家に雇って頂けたのです」
アシュリーはエルンを祖父と同様に懐き、エルンもまた、アシュリーを孫のように可愛がっていたのだ。
「私だけでは有りません。他の使用人達も、エヴァンス侯爵家の方々が見付けて下さり、グリマード家で働けるよう取り計らい、成長したアーシュ様と、再び会えるチャンスを下さいました。本当に、心から感謝を致します」
エルンの他の使用人達と言う言葉に、後ろで頭を下げていた使用人達が顔を上げて笑顔を見せ、エルンのジーンに向けた感謝の言葉と共に、頭を再度下げたエルンと同時に、他の使用人達もジーンに頭を下げる。
全てはジーンの采配だったと、アシュリーに教える為に。
人前だからと涙を必死に堪えていたアシュリーの涙腺が、見事に崩壊したのは言うまでも無い。
ディーランの国では、王都以外の領地に建てられた貴族の館の殆どは、自領の領都から少し離れた郊外に建てられる事が多い。
少々不便では有るが、様々な面で都合が良いので、街の中心部に建て直そうとする貴族は居ない。
馬車はそのまま街を横切り、グリマード邸へと向かって行った。
元々、植物学者は少ないし、あちこちに移動するか、居ても王族や王宮勤めが多いので、高額だったり他の仕事で断られたりと、捕まえる事自体が難しい。
その上、成果が出なくても、衣食住には困らず、金になるからと言う、騙りも居る程だ。
まぁ、当然騙りは重罪だし、殆どの植物学者達は王宮に認可登録を受けている為、定期連絡や所在地報告の義務が有るが、その代わりに、認定証と騙りを徹底的に取り締まって貰う事で、その名と地位が守られている。
特にネイルは、只の植物学者では無い。高位の貴族位を持つ植物学者だ。
当然貴族名鑑にも、その名と顔が載っているから、ネイルの名を騙れば直ぐバレる。
地方の貴族は、植物学者のネイルが高位貴族のネイル=グリマードと同一人物とは思っていなかったりするが、王都に通う上位貴族からすれば有名な話なのだ。
そんな話をジーンから聞きながら、元ゴート邸だったグリマード邸に到着したアシュリー達を出迎えたのは、アシュリーにとっては懐かしい実家とネイル夫妻、そして、多くの使用人達。
今は頭を下げて居るので顔は見えないが、その使用人達の顔ぶれの殆どは、アシュリーの幼少期を知る、父親に不当解雇された者達だ。
まだ目が赤いアシュリーの手をジーンに取られ、馬車から降りると、年嵩の一人の執事が顔を上げて、歓迎の挨拶を口にする。
「ようこそお出で下さいました、エヴァンス侯爵家の嫡男ご夫婦様。そして、お久し振りですアーシュ様」
「っ!!じっ……爺や?爺やのエルン?」
アシュリーの記憶の中の彼より、かなり年老いてはいるが、幼少の頃に、共に過ごした事の有る執事に間違いは無い。
彼はアシュリーの祖父の代から働いていた執事で、真っ先に解雇された内の一人だ。
「はい。大きく……美しくなられて。こんな年寄りですが、他の使用人達の教育指導者として、グリマード家に雇って頂けたのです」
アシュリーはエルンを祖父と同様に懐き、エルンもまた、アシュリーを孫のように可愛がっていたのだ。
「私だけでは有りません。他の使用人達も、エヴァンス侯爵家の方々が見付けて下さり、グリマード家で働けるよう取り計らい、成長したアーシュ様と、再び会えるチャンスを下さいました。本当に、心から感謝を致します」
エルンの他の使用人達と言う言葉に、後ろで頭を下げていた使用人達が顔を上げて笑顔を見せ、エルンのジーンに向けた感謝の言葉と共に、頭を再度下げたエルンと同時に、他の使用人達もジーンに頭を下げる。
全てはジーンの采配だったと、アシュリーに教える為に。
人前だからと涙を必死に堪えていたアシュリーの涙腺が、見事に崩壊したのは言うまでも無い。
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