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後日談

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 ジェフが手伝いとして、執務室に出入りし出すと、レオンの居住区と関わり合いの無い者達までとの接触が増える事になる。

 それは、政務官の下っ端だったり、行儀見習いとして、王宮に働きに来ている筈の貴族令嬢だったりだ。

 役職付きの政務官だろう男が、下っ端政務官に怒鳴り散らしていた所を、偶然ジェフは遭遇した。

 あまりにも大声で怒鳴り散らしている為、内容は丸聞こえ。

 ジェフは扉を叩いて入室した。


「廊下にまで声が聞こえているので、忠告して差し上げます。自身の仕事を他人に丸投げして置きながら、よく偉そうに言えますね?貴方御自身で、仕事の処理をすれば良いだけの話でしょう。それなのに、こんな物に目を通させるな?最終確認すらしない責任者は、責任者の資格すら有りませんよ。今直ぐ辞めたらどうですか?税金の無駄です。何なら、アレクシス陛下には、私からキチンと話して置きますが」


 ジェフは冷ややかな眼差しで、青ざめる上官だろう年配の政務官を一瞥し、次に下っ端だろう政務官に声を掛ける。


「そこの貴方、手元の書類を私に」

「はっ、はい!」


 ジェフはその場で部厚い資料を一読しながら、間違いの指摘や削る場所、補足が必要な場所等の的確な指示を出す。


「まっ、待って下さい!メモを取らせて下さい!」

「いいでしょう。ここだと雑音が入りそうですから、付いて来なさい」

「はっ、はいっ!」


 ポカンと馬鹿面を晒してる上官を無視する形で、部屋を出ようとするジェフ。


「ままままっ、待てっ!!」


 アレクシスに告げ口されては困るとばかりに、我に返った上官が、慌ててジェフに声を掛けるが、振り返るジェフの視線は氷点下と言っても良い。


「仕事を任せたなら、その責任は仕事をした者にも有りますが、それを任せた者にだって責任は有るし、任せたからと確認もせずに居るなら、その者に何の意味が有ると言うのです。人件費の無駄ですよ。そんな穀潰ごくつぶし、飼うだけ無駄です。平民の使える人間を雇う方が、幾らかマシですよ」


 ジェフの辛辣な正論ことばに、上司の政務官は絶句し、下っ端政務官は思わず泣きそうになった。

(仕事が速いし、頼りになる!こっ……こんな上司が欲しかったーっっ!!一生付いて行きたいです!)

 その政務官に取って、今までの苦労が報われた瞬間だったが、後にジェフが正規の政務官では無い事を知り、ガックリと肩を落とす事になるのはそう遠くない未来の話。

 それでも、この時の出会いが無駄になる事は無く、目指すべき理想の政務官の姿として彼の心の中に強く残ったのだった。
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