氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 貴族としては無名のジェフが、王太子付きの侍従として入った事に依り、当然貴族の中には面白くない者達も居る。

 そんな連中は、ジェフの挙げ足を取るべく絡もうとした。


「おい、貴様!王太子殿下に何て口の聞き方だ!使用人の分際で、立場を弁えろ!!」

「私は元同級のよしみとして、国王陛下直々に頼まれたのですが、そう言う貴方は何様のつもりですか?」


 ジェフの冷ややかな返しに、動揺する若い貴族。


「元同級?陛下直々に、だと?」

「そんな事も調べずに、よく私の前に来れましたね。知らずにいた、では済みませんよ。貴方は、王太子殿下の教育係りとして厳しく指導するよう頼まれた私の仕事に、口を挟む権利は無いのですから」


 顔色を青ざめさせる貴族に更なる追い討ちを掛けるジェフ。


「私は王宮内に出入りする、全ての貴族の顔と名前は把握しています。勿論、貴方がどこの誰かと言う事も。この事は、陛下とエヴァンス家の当主に報告させて頂きます」

「なっ……エヴァンス家?!」

「周知の事実ですが。私がエヴァンス家の遠縁の者で、本来エヴァンス領の政務官をしている事も、学院卒業後は王宮の政務官にならないかと声を掛けられてはいたが、実力主義のエヴァンス領の政務官の方が遣り甲斐が有ると話を蹴っていた事も。立場を弁えていないのはどちらでしょうね」


 絶対零度の眼差しに、エヴァンス家の者達を思い起こさせ、ガタガタと震え出す貴族。

 よくよく見れば、ジェフのその瞳の色は、エヴァンス家に多く見られる色合いだと気付いたのだろう。


「貴方に構っている時間が無駄なので、失礼します。レオン殿下、行きますよ」


 ある意味物凄く失礼な事を言ってるが、先に無礼を働いたのは向こうなのだから、これっぽっちも問題無い。

 調べれば判る事を調べずに、ジェフに喧嘩を吹っ掛けた方が悪いのだ。


「媚を売るしか出来ない阿呆は、王宮に居ても邪魔になるだけです。あのような輩は直ぐに報告を入れなさい。甘い事だけしか言わない輩は、責任感が欠けています。都合が悪くなれば、何事も権力で解決しようとする考え無しです。もしくは貴方に全責任を押し付ける腹積もりですから、利用されたくなければ遠ざける事です。勿論、相手の思惑を逆手に取り、やり込める実力が有れば別ですが。出来ないのなら、実力の有る経験者の近くで、確りと学びなさい。幸い貴方の周りには、それが出来る実力者揃いなのですから」


 ジェフの、レオンに対するいつもながらの冷めた眼差しに、レオンは恐縮しながらも、素直に了承の返事をするのだった。
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