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後日談

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 レオンの日常は、毎朝欠かさず早朝に、ジェフの冷たい声で起こされるか、自力で起きるかの二択から始まり、朝稽古と言う名の扱き……心身を鍛える為の鍛練を受け、食欲が減退している身体に無理矢理詰め込む。

 因みに食欲の減退は早朝の鍛練の所為では無く、リラにやらかした翌日から始まった、ジルギリスの新たな特別講義……要は恐怖教育の所為で有る。

 実名や現存する国名、もしくは過去に存在した国々や領域名を言い、世界地図や各領域の地図……とは言っても、どちらも精度は低く、大雑把な物では有るが、場所を理解する為、現実に起こった事だと理解させる為の物なので、大まかな場所さえ解れば問題ない物だ。

 それを使い、年号も交えた上で、過去に起きた愚王等の悪政や事件、その後の断罪処分を実写さながらのリアルな絵付きで、詳細に解説される。

 時には、知り合いから借りたと言う拷問具や、本物と見間違う程精巧な生首のレプリカ等も見せられるのだ。

 しかも、たまに参加するマーウィンが、余計な事を言い出す。


「……んん?その生首、どこかで見たような……?」

「大昔、貴方が少人数のお忍びで、諸国漫遊するとか言い出し、私が渋々同行した時に、ディーランの王太子で有る貴方を襲ってきた刺客のレプリカですよ。当時はあちこちで戦や覇権争いが続いていましたからね。王太子を殺せば、容易く国土が手に入るとでも思われたのでしょう。勿論、そんな気を無くさせる為に、その黒幕の元に、次はお前の番だと言う主旨の手紙もお付けして、腐敗しないよう防腐剤を注入してから、送り返させて頂きましたけどね」


 その生首は、恐怖と苦悶の表情で、今にも叫び出しそうだと言うのに、明日の天気でも話しているかのように、平然と普通に会話されてるのが、更なる恐怖をレオンに与える。


「相手にキチンと届いたのか?」

「当然じゃないですか。ちゃんと相手の使う執務室の机の上に置き、相手が失禁していた姿も、ウチの部下が確認済みですよ。そもそも、刺客なんて送り付けておきながら、バレないと楽観するのが間違いです。相手はその後発狂し、精神を患ったそうですが、はっきり言って、自業自得ですから」


 いつもと同じ笑顔で語るジルギリスに、底知れない恐怖を感じたレオン。

 そもそも、当然だと言うが、本来は相手を割り出す事も、その相手の執務室に忍び込む事も、非常に難しい。

 今なら解る。

 父親のアレクシスが、ジルギリスを苦手としていた理由も、ジルギリスを怒らせるなと言った理由も、本当の意味で、漸く理解が出来たのだった。
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