709 / 803
後日談
12
しおりを挟む
前領主に不当解雇されていた者達の殆どは、数年の空白期間が有るので、勘を取り戻すべく、仕事を熟していたのだが、それでも明らかに邸に居た者達よりも仕事が速かった。
しかも仕事量にも差が有り、邸に居た者達は一般的な他家の貴族に仕える使用人と比べると、入ったばかりの新人レベルと言ってもおかしくない程の質だろう。
そうは言っても、ネイルは一般的な貴族の常識には当て嵌まらないので、一般的な貴族の使用人として通じる不当解雇組でも、四苦八苦する事が多い。
通常業務に加え、ネイルが持ち込んだ苗や種等、保管の仕方や育て方等々覚える事は山積みだ。
側近のジョシュアが言うには、ネイルの育てる植物を栽培すると、商人だけでは無く、周辺領主の貴族は勿論、遠方の高位貴族も買い付けに来る可能性が高いとの事。
その上、植物学者として本も出している為、数々の植物に関する相談の手紙が届くようにもなるらしい。
因みにネイルが所有する邸は実家の侯爵領に有るだけで無く、王都にも有り、ネイルの個人資産は年々増加傾向に有る。
ジョシュアが、その総資産を管理するのは私の役目だがと前置きした上で、金額に換算して教えると、元ゴート家の政務に携わっていた使用人達がゴート領の総資産よりも軽く上回る金額に、物の見事に固まった。
「私達の主人で有るネイル様は本来、植物や奥方様に関する事以外に時間を使う事を嫌います。何よりその時間を邪魔されるを厭うのです。その為使用人達は最低限、実力の有る者達しか居ませんでした。私は資産管理を任されている者として敢えて言わせて頂きますが、無能者に出すお金は有りません。給金も能力に応じて出させて頂きます。私の仕事はネイル様に損害を出させない事。無能に雇われていたからと言った理由で、同情する気も無ければ手心を加える気も有りません。努力はどんな環境でも出来る筈ですから。なので、傍に居ないから、見ていないからと気を抜かないで下さいね?サボっていたら、給金から天引きしますし、掛かる時間に依っても給金に影響させますから」
ジョシュアはニッコリと笑顔で宣うが、その瞳は笑っていない。
それもそうだろう。
ジョシュアはネイルに人手は足りていると断られても、粘って自身を売り込んで、やっと雇って貰えたのに、何もしてない連中が何の苦労も無く雇われるなんて良い気がしないのは当然だ。
それが無能なら尚更だろう。
「まぁ、私が納得出来る仕事振りを見せて頂ければ、給金も自ずと上がりますよ。今まで使用人として何年も働いて居られたのですから、頑張れば出来る筈ですよね。なので早く新人雑用係りから這い上がって来て下さいね」
ジョシュアの笑顔と絶対零度の雰囲気に、新人レベルの使用人達はただただ背筋を震わせていた。
しかも仕事量にも差が有り、邸に居た者達は一般的な他家の貴族に仕える使用人と比べると、入ったばかりの新人レベルと言ってもおかしくない程の質だろう。
そうは言っても、ネイルは一般的な貴族の常識には当て嵌まらないので、一般的な貴族の使用人として通じる不当解雇組でも、四苦八苦する事が多い。
通常業務に加え、ネイルが持ち込んだ苗や種等、保管の仕方や育て方等々覚える事は山積みだ。
側近のジョシュアが言うには、ネイルの育てる植物を栽培すると、商人だけでは無く、周辺領主の貴族は勿論、遠方の高位貴族も買い付けに来る可能性が高いとの事。
その上、植物学者として本も出している為、数々の植物に関する相談の手紙が届くようにもなるらしい。
因みにネイルが所有する邸は実家の侯爵領に有るだけで無く、王都にも有り、ネイルの個人資産は年々増加傾向に有る。
ジョシュアが、その総資産を管理するのは私の役目だがと前置きした上で、金額に換算して教えると、元ゴート家の政務に携わっていた使用人達がゴート領の総資産よりも軽く上回る金額に、物の見事に固まった。
「私達の主人で有るネイル様は本来、植物や奥方様に関する事以外に時間を使う事を嫌います。何よりその時間を邪魔されるを厭うのです。その為使用人達は最低限、実力の有る者達しか居ませんでした。私は資産管理を任されている者として敢えて言わせて頂きますが、無能者に出すお金は有りません。給金も能力に応じて出させて頂きます。私の仕事はネイル様に損害を出させない事。無能に雇われていたからと言った理由で、同情する気も無ければ手心を加える気も有りません。努力はどんな環境でも出来る筈ですから。なので、傍に居ないから、見ていないからと気を抜かないで下さいね?サボっていたら、給金から天引きしますし、掛かる時間に依っても給金に影響させますから」
ジョシュアはニッコリと笑顔で宣うが、その瞳は笑っていない。
それもそうだろう。
ジョシュアはネイルに人手は足りていると断られても、粘って自身を売り込んで、やっと雇って貰えたのに、何もしてない連中が何の苦労も無く雇われるなんて良い気がしないのは当然だ。
それが無能なら尚更だろう。
「まぁ、私が納得出来る仕事振りを見せて頂ければ、給金も自ずと上がりますよ。今まで使用人として何年も働いて居られたのですから、頑張れば出来る筈ですよね。なので早く新人雑用係りから這い上がって来て下さいね」
ジョシュアの笑顔と絶対零度の雰囲気に、新人レベルの使用人達はただただ背筋を震わせていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9,204
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる