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後日談

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 ネイルは邸に来て、ジョシュアと邸内に有る家財道具の確認や、書類精査を最優先し、その後に政務に携わっていた者達、これに関しては不当解雇されていた使用人達と、この邸に居た者達、そして普通の使用人として潜入していたエヴァンス家の政務官に集まって貰い、今後の政務に関して話し合う。

 これ等が終わらなければ、ネイルは土壌を調べる事も、適した植物の種や苗を植え替える事も出来ない。

 その上邸の者達が、何かに付けてレイニーを構おうとしている。

 ネイルが構いたくても構えない状況だと言うのにだ。

 夜遅くまで仕事をしている為に、ネイルが寝室へ行く頃には、レイニーは就寝しているし、朝も早くから書類に目を通す為、ゆっくりしてはいられないのだ。

 レイニーには健やかに暮らして欲しいので、少しの間だけ我慢して欲しいと言っているのに、そんなレイニーを標的に構うものだから、レイニーはげんなりしているし、ネイルからすれば面白く無い。

 時間と愛情を掛けて、丹精を込めて、大切に育てている植木鉢の花を、植木鉢ごと勝手に持ち出されている心境だ。

 植物にしか絶大な愛情を込めないネイルが、唯一にして、その植物と同等以上に、愛情と執着を向ける人物がレイニーなのだから、面白く無いのも当然だろう。

 それに、レイニーにとってもストレスでしか無い相手なのだ。

 エヴァンス家の使用人で有るハリエルが専属侍女を引き受けてくれたお陰で、レイニーの負担が少なくなっているようで、ネイルはホッとした。

 ネイルにとってハリエルは、大切な花を持ち出そうとする者達に立ちはだかる囲いの壁のイメージだが、あながち間違いでは無い。

 何せ、リラと言うエヴァンス家の華を守ってきた内の一人なのだから。

 ネイルは基本、レイニー以外の異性を信用しない。

 結婚する前も後も、言い寄られる事が多く、仕事の邪魔をし、煩わしい思いをしてきたからだ。

 その中で例外と言えるのは、エヴァンス家と深い関わりを持つ者達ぐらいだろう。

 ネイルに言い寄る事も無く、協力すらしてくれるのだから。

 そうは思いつつも、レイニーと一日中一緒に過ごせるハリエルを少しだけ妬ましく思いながら、一日でも早くこの雑務を終わらせようと決意するネイルだった。
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