氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 アシュリーのウエディングドレスはパッと見とてもシンプルでシックな雰囲気のドレスだが、そのドレスと同様の、光沢の有る同色の糸で裾や袖口に細かな刺繍が刺して有り、光の加減でその模様が綺麗に浮かび上がる品の良いドレスだ。

 その模様は雪の結晶のような模様で、リラのウエディングドレスもこの模様と酷似した模様を総レース部分に使用していたのだ。

 本来ディーラン国で雪が降っても、気温がそれ程低くない所為か、雪の結晶を目にする事は無いのだが、他国に赴く事も有るエヴァンス家の人間はそれを目にする機会も有り、エヴァンス家では雪の結晶をモチーフにした模様を娘や花嫁のウエディングドレスにレースや刺繍で使用される事が多い。

 そしてそれは、伴侶になるエヴァンス家の息子や、花婿となる相手の衣装にも反映されている。

 ジーンの衣装にも襟や裾、袖口には花嫁と同じパターンの刺繍が施されていた為に、アシュリーがジーンを見て、引き立て役にすらならないのではと思ってしまったのは、ある意味仕方の無い事だと言えよう。

 とは言え、ジーンの袖口を飾るカフスボタンは、アシュリーの瞳と同じ色。

 アシュリーに贈られた、髪飾りと首飾りの対になる、同じ意匠のカフスボタンだ。

(この方が、わたくしの旦那様……)

 アシュリーは真っ赤に染まった顔で、横にいるジーンを見上げれば、ジーンはフッと、優しく微笑み返してくれる。

(反則っっ!!その笑顔は反則ですジーン様っ!)

 アシュリーが顔を真っ赤に染まったままで、思わず顔を俯かせていると、大聖堂の者が他の貴族達が全員着席した事を護衛達に報せに来たので、ジルギリスがそれに応えて場所を移動する。

 勿論、デュラン義兄上は静かにしていて下さいね?とジルギリスが念の為に忠告を入れたのは当然の事だろう。

 そうしてエヴァンス家の結婚式が粛々と始まったのだが、エドワルドの結婚式と同様、数多の男女がその夜、一人で酒を煽り、泣き崩れていたのだが、それを知るのは当人と、その家に仕える使用人達だけだろう。

 彼等は人恋しさからか、身近な異性とお付き合いする者達の姿が度々目撃され、ジーンやエドワルドを見倣い、愛妻家として女性を大切にした者達は妻からも愛され、子供が生まれた家では子供の着ぐるみブームが到来した折りに、妻の可愛い姿も堪能出来、あの時に思い切って伴侶を持とうと決断した事を誇らしく思った者達も多く出る事になるのだが、それは少しばかり未来の話だ。

 ジーンが先に祭壇へと向かい、アシュリーはデュランと共に祭壇へと向かうのだった。
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