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SS置き場
お気に入り7500人突破記念♪ ~初めての挑戦~
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幼いリラは王都にいて、まだコミュ障になる前の、ダンと一緒に王都に来ていた時だった。
「うわぁ!良いにおい!できたの?!」
「ええ。ですが熱いので、まだ触っちゃダメですよ」
小さなリラは、お菓子作りの上手な侍女達と一緒に、料理長が見守る中で、初めてクッキー作りに挑戦した。
用意された粉を一生懸命ふるい、生地を捏ねるのは力がいるのである程度捏ねてもらってから参加、平らに伸ばすのは料理長と一緒に伸ばし、皆と一緒に型抜きを使う。
そして後はオーブンで焼く。
とは言え、まだ幼いので、オーブンには近寄らせてはもらえない。
リラは侍女に抱き抱えられながら、オーブンから出てきたクッキーに目が釘付けだ。
鉄板は当然熱いので、料理長が取り、お皿に入れる所は見ているだけの約束だけど、美味しそうな匂いと盛られるクッキーに目が離せない。
料理長はお皿に移し替えたクッキーの一つを手に取り、息を吹き掛け表面を冷ますと、リラに注意を促し、クッキーを口元に運ぶ。
「まだ熱いので、気をつけて食べて下さいね」
「うん!」
目を輝かせながら、一口頬張るリラ。
「はふはふっ、はふ、ほいひぃ~!」
両手を頬に当て、満面の笑顔で咀嚼するリラは、天使のようだ。
現に、使用人達はリラの笑顔にメロメロで、心の中では存分に悶えてる。
「リラの作ったクッキー、みんな食べてくれるかなぁ?」
「勿論ですよ!」
「リラね、リラね、楽しかったの!またしてもいい?」
リラは使用人達に、上目遣いで手を組み、首を傾げながら問う。
「今回同様、他の人の言う事をちゃんと守ると約束出来るなら、ですよ」
あまりの可愛さに、危うく即答してしまいそうになりながらも、何とか堪えて条件を出す。
「うん、リラやくそくする~!やったぁ♪︎」
「天気が良いのでお庭でお茶会を開きましょう。皆喜びますよ」
「わぁい!みんなでお茶会♪︎」
そうして庭でセッティングをし、侍女達が母親のリリーや手の空いてる使用人達を呼びに行っていると。
「やあリラちゃん!ダンはどこ……おや、美味しそうな匂いがするなぁ」
「マーウおじ様!あのね、あのね、このクッキー、リラがみんなと一緒に作ったの!」
「おお、どれどれ……これは美味い!」
マーウィンはそう言うと、次から次へとクッキーを口に放り込む。
「あっ、あっ、あっ……」
皿に有ったクッキーは半分近くに減っていき、このままでは全部食べられてしまいそうだとリラが慌てていると。
「貴方はまた……私の家の敷地内に勝手に侵入した挙げ句、娘のお菓子を横取りするなんて、一体何を考えているんですか」
ジルギリスの声に、目を輝かせ反応するリラとマーウィン。
「とお様!」
「ジル、これはリラちゃんのお菓子では無く、リラちゃんが作ったお菓子だそうーー」
「マーウ、何で貴方が一番最初に食べてるんですか?そんなに我が家を敵に回したいと?」
ジルギリスはマーウィンの背後に立ち、後頭部を鷲掴み、力一杯握力を込める。
「だだだだだっ‼ジルっ、頭っっ‼私はこれでも国王っ!」
「国王なら何をしても良いとでも?況してやここは私の家です」
絶対零度の視線をジルギリスがマーウィンに向け、黙らせる。
そして握力はそのまま緩めず、リラにクッキーを食べて良いかと笑顔で問い掛け頷くリラの前で一つ食べ、美味しかったと言った後、今日はお仕事が忙しくなるからと言って、マーウィンの後頭部を掴んだまま玄関に向かって行く。
「とお様、お仕事頑張ってねぇ~!」
リラが大きく手を振ると、ジルギリスが笑顔で手を振り返し去つていったのだった。
*****
※いつも有り難う御座います‼
リラが子供の頃のお話でした♪︎
大分昔の事になりますが、以前クロナさんが、前国王(マーウィン)はリラのお菓子を食べた事が有るのかと聞かれていたのですが、私が読み違いをしていて、前国王の前を読み飛ばしていたらしく、国王(アレクシス)なら話に出てますと返信してしまっていた事が有り、あまりに時間が経っていたので訂正出来ずに申し訳ありませんでした(汗)
最近ふと思い出しまして、その話を書かせて頂きました。
実は、リラが味見した以外ではマーウィンが誰よりも早く、最初に食べてるんです(笑)
その後どうなったかは、ご想像にお任せします♪︎
最近急に寒くなって来ましたが、風邪等を召されませんよう、お気を付け下さい。
皆様が少しでも楽しんで頂けたなら幸いです!
「うわぁ!良いにおい!できたの?!」
「ええ。ですが熱いので、まだ触っちゃダメですよ」
小さなリラは、お菓子作りの上手な侍女達と一緒に、料理長が見守る中で、初めてクッキー作りに挑戦した。
用意された粉を一生懸命ふるい、生地を捏ねるのは力がいるのである程度捏ねてもらってから参加、平らに伸ばすのは料理長と一緒に伸ばし、皆と一緒に型抜きを使う。
そして後はオーブンで焼く。
とは言え、まだ幼いので、オーブンには近寄らせてはもらえない。
リラは侍女に抱き抱えられながら、オーブンから出てきたクッキーに目が釘付けだ。
鉄板は当然熱いので、料理長が取り、お皿に入れる所は見ているだけの約束だけど、美味しそうな匂いと盛られるクッキーに目が離せない。
料理長はお皿に移し替えたクッキーの一つを手に取り、息を吹き掛け表面を冷ますと、リラに注意を促し、クッキーを口元に運ぶ。
「まだ熱いので、気をつけて食べて下さいね」
「うん!」
目を輝かせながら、一口頬張るリラ。
「はふはふっ、はふ、ほいひぃ~!」
両手を頬に当て、満面の笑顔で咀嚼するリラは、天使のようだ。
現に、使用人達はリラの笑顔にメロメロで、心の中では存分に悶えてる。
「リラの作ったクッキー、みんな食べてくれるかなぁ?」
「勿論ですよ!」
「リラね、リラね、楽しかったの!またしてもいい?」
リラは使用人達に、上目遣いで手を組み、首を傾げながら問う。
「今回同様、他の人の言う事をちゃんと守ると約束出来るなら、ですよ」
あまりの可愛さに、危うく即答してしまいそうになりながらも、何とか堪えて条件を出す。
「うん、リラやくそくする~!やったぁ♪︎」
「天気が良いのでお庭でお茶会を開きましょう。皆喜びますよ」
「わぁい!みんなでお茶会♪︎」
そうして庭でセッティングをし、侍女達が母親のリリーや手の空いてる使用人達を呼びに行っていると。
「やあリラちゃん!ダンはどこ……おや、美味しそうな匂いがするなぁ」
「マーウおじ様!あのね、あのね、このクッキー、リラがみんなと一緒に作ったの!」
「おお、どれどれ……これは美味い!」
マーウィンはそう言うと、次から次へとクッキーを口に放り込む。
「あっ、あっ、あっ……」
皿に有ったクッキーは半分近くに減っていき、このままでは全部食べられてしまいそうだとリラが慌てていると。
「貴方はまた……私の家の敷地内に勝手に侵入した挙げ句、娘のお菓子を横取りするなんて、一体何を考えているんですか」
ジルギリスの声に、目を輝かせ反応するリラとマーウィン。
「とお様!」
「ジル、これはリラちゃんのお菓子では無く、リラちゃんが作ったお菓子だそうーー」
「マーウ、何で貴方が一番最初に食べてるんですか?そんなに我が家を敵に回したいと?」
ジルギリスはマーウィンの背後に立ち、後頭部を鷲掴み、力一杯握力を込める。
「だだだだだっ‼ジルっ、頭っっ‼私はこれでも国王っ!」
「国王なら何をしても良いとでも?況してやここは私の家です」
絶対零度の視線をジルギリスがマーウィンに向け、黙らせる。
そして握力はそのまま緩めず、リラにクッキーを食べて良いかと笑顔で問い掛け頷くリラの前で一つ食べ、美味しかったと言った後、今日はお仕事が忙しくなるからと言って、マーウィンの後頭部を掴んだまま玄関に向かって行く。
「とお様、お仕事頑張ってねぇ~!」
リラが大きく手を振ると、ジルギリスが笑顔で手を振り返し去つていったのだった。
*****
※いつも有り難う御座います‼
リラが子供の頃のお話でした♪︎
大分昔の事になりますが、以前クロナさんが、前国王(マーウィン)はリラのお菓子を食べた事が有るのかと聞かれていたのですが、私が読み違いをしていて、前国王の前を読み飛ばしていたらしく、国王(アレクシス)なら話に出てますと返信してしまっていた事が有り、あまりに時間が経っていたので訂正出来ずに申し訳ありませんでした(汗)
最近ふと思い出しまして、その話を書かせて頂きました。
実は、リラが味見した以外ではマーウィンが誰よりも早く、最初に食べてるんです(笑)
その後どうなったかは、ご想像にお任せします♪︎
最近急に寒くなって来ましたが、風邪等を召されませんよう、お気を付け下さい。
皆様が少しでも楽しんで頂けたなら幸いです!
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