678 / 805
後日談
3
しおりを挟む
「ダン……兄?」
「よぉ。久し振りだな、サリー」
「あ~、ごめんねぇ~!あたし、ダン兄の事、あんま覚えて無いんだよぉ~。でもでも、格好良いお兄ちゃんがいたってのは覚えてるし、マッドちゃんや他の兄ちゃんとかから、色々聞いてるから!」
「チビッ子だったんだから、殆ど覚えてねぇのが普通だろ。ウチの嬢ちゃんは別格だがなぁ」
(ウチの……嬢ちゃん?)
サリサが首を傾げ、聞こうとするが、双子達の声が割り込む。
「「ダン、妹本物?浮気違う?」」
「ああ。マッドにゃ弟二人と妹二人がいて、こいつぁ下の妹だ。浮気相手じゃねぇよ」
「「ならいい。ルッグス悲しまない!浮気ダメ!絶対!!」」
双子達はビシッとマッドに指を差して言い切る。
「しないから!あたしはライちゃん一筋だからぁ!!」
そんなマッドの叫びをサラッと無視し、サリサに聞くダン。
「んで?サリーは一人か?」
「あっ、と~、一人じゃなくて、三人で来たんだけど、他の二人は宿屋に居るよ~。一応マッドちゃんを呼びに来たの。ムッサイ男が二人もいるよりか、あたし一人のが警戒され難いかな~って」
「女だろうが一般人だろうが一人だろうが、油断するような馬鹿な護衛はこの家にはいねぇよ。そんな奴が居たら、俺が一から鍛え直してやらぁ。ちょっとここで待ってろ。先に執事に話を通してくる」
ダンはそう言うと、双子達を先に促し玄関に向かったのだが、実は既にサイナスからの報告で、不審者が門に居ると聴いていたので、双子達が先に向かったのだ。
それなのにマッドがその不審者を連れて親しそうにし、ライラよりも距離が近く、親密な雰囲気に双子達がマッドの浮気かと勘違いしたようだ。
マッドは男女問わず、気に入った相手なら平気で好意的な言葉を口にする。
その為双子達はマッドの言葉を信用しない。
マッド以外の男女には必ず距離を取るライラは、逆に、双子達の信用を得るのに時間は掛からなかったのだ。
(サリーが他の二人を連れて来なくて良かった良かった。マッドの弟だろうが、未婚者を公爵様がリラ嬢ちゃんに近付ける気はねぇだろうし、下手すりゃあ見惚れる弟達を闇討ちしようと企みそうだからなぁ)
リラを見惚れない初対面は居ない。
特にエドワルドと結婚してからは、益々美貌に磨きが掛かり、子供を産んだ後も、エドワルドからの溺愛は止まる事を知らない状態なのだ。
顔を合わせて無くともエドワルドが居ない時に、同じ敷地内に知らない男が居ると言うだけで、抹殺対象にし兼ねない程に、エドワルドはリラに執着しているのだから。
(一応裏は取るとして、取り敢えず公爵様が戻るまでは会わせねぇ方が良いだろうなぁ。リラ嬢ちゃんが弟達に興味持って公爵様に嬉々として話そうもんなら、サリーが抹殺対象になり兼ねんからなぁ)
ダンは空恐ろしい事を平然と思いながら、サイナスの居る屋敷内へと向かうのだった。
「よぉ。久し振りだな、サリー」
「あ~、ごめんねぇ~!あたし、ダン兄の事、あんま覚えて無いんだよぉ~。でもでも、格好良いお兄ちゃんがいたってのは覚えてるし、マッドちゃんや他の兄ちゃんとかから、色々聞いてるから!」
「チビッ子だったんだから、殆ど覚えてねぇのが普通だろ。ウチの嬢ちゃんは別格だがなぁ」
(ウチの……嬢ちゃん?)
サリサが首を傾げ、聞こうとするが、双子達の声が割り込む。
「「ダン、妹本物?浮気違う?」」
「ああ。マッドにゃ弟二人と妹二人がいて、こいつぁ下の妹だ。浮気相手じゃねぇよ」
「「ならいい。ルッグス悲しまない!浮気ダメ!絶対!!」」
双子達はビシッとマッドに指を差して言い切る。
「しないから!あたしはライちゃん一筋だからぁ!!」
そんなマッドの叫びをサラッと無視し、サリサに聞くダン。
「んで?サリーは一人か?」
「あっ、と~、一人じゃなくて、三人で来たんだけど、他の二人は宿屋に居るよ~。一応マッドちゃんを呼びに来たの。ムッサイ男が二人もいるよりか、あたし一人のが警戒され難いかな~って」
「女だろうが一般人だろうが一人だろうが、油断するような馬鹿な護衛はこの家にはいねぇよ。そんな奴が居たら、俺が一から鍛え直してやらぁ。ちょっとここで待ってろ。先に執事に話を通してくる」
ダンはそう言うと、双子達を先に促し玄関に向かったのだが、実は既にサイナスからの報告で、不審者が門に居ると聴いていたので、双子達が先に向かったのだ。
それなのにマッドがその不審者を連れて親しそうにし、ライラよりも距離が近く、親密な雰囲気に双子達がマッドの浮気かと勘違いしたようだ。
マッドは男女問わず、気に入った相手なら平気で好意的な言葉を口にする。
その為双子達はマッドの言葉を信用しない。
マッド以外の男女には必ず距離を取るライラは、逆に、双子達の信用を得るのに時間は掛からなかったのだ。
(サリーが他の二人を連れて来なくて良かった良かった。マッドの弟だろうが、未婚者を公爵様がリラ嬢ちゃんに近付ける気はねぇだろうし、下手すりゃあ見惚れる弟達を闇討ちしようと企みそうだからなぁ)
リラを見惚れない初対面は居ない。
特にエドワルドと結婚してからは、益々美貌に磨きが掛かり、子供を産んだ後も、エドワルドからの溺愛は止まる事を知らない状態なのだ。
顔を合わせて無くともエドワルドが居ない時に、同じ敷地内に知らない男が居ると言うだけで、抹殺対象にし兼ねない程に、エドワルドはリラに執着しているのだから。
(一応裏は取るとして、取り敢えず公爵様が戻るまでは会わせねぇ方が良いだろうなぁ。リラ嬢ちゃんが弟達に興味持って公爵様に嬉々として話そうもんなら、サリーが抹殺対象になり兼ねんからなぁ)
ダンは空恐ろしい事を平然と思いながら、サイナスの居る屋敷内へと向かうのだった。
33
お気に入りに追加
9,275
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる