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後日談
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アレクシスとアナスタシアが、社交シーズンに入って最初のファーストダンスを踊る。
王都では、王族のダンスが社交シーズンの始まりの合図と言っても良い程に、この日を境に各家が競い合うように夜会や茶会を開くのだ。
まぁ、内輪だけで大規模な夜会や茶会は開かないと言う、例外的な貴族が居たりもするが。
とは言え、王族の誰かがこの時期に、毎年王宮でファーストダンスをする事が決まっていて、近年はずっと国王夫妻がその役目を担っている。
それは、地方から出てきたアシュリーにとっての、初めて見る、大好きなアナスタシアの晴れ舞台なので、その洗練されたとても美しいダンスに、アシュリーは夢心地で眺めていた。
(シア様、素敵過ぎます!息の合った麗しの美男美女!!仲の良い理想の夫婦!華やかで、美しいドレスが軽やかに舞う姿は、可憐な妖精と例えられてもおかしくは無いのです!!)
アシュリーは悪意の無い純粋な好意を向けてくるので、アナスタシアからしても、嬉しい貴重な存在だ。
守らなければと思うのは、当然と言えよう。
そしてアシュリーは、リラの後ろ姿を見て、ドレスの型や色、デザインは違うものの、リラとアナスタシアがお揃いの装飾を使用されてる事に気付く。
(シア様とリラ様は、本当に仲が良いのですね。ドレスは各々の雰囲気に合う全くの別物だけれど、年越しのパーティーと同じ、お揃いの装飾が為されているわ。シア様とリラ様は、同じ仕立て人に頼んでいるのかしら?強い視線が背後から来るのは、二人の仲の良さを羨んでいるからでしょう。わたくしにとっては畏れ多い事ですが、リラ様とシア様は、大切な方々ですもの!わたくしが欠点にならないように、周囲には充分警戒しなければ!)
アシュリーは、リラとアナスタシアがお揃いの装飾だと気付きはしたものの、それが、自分を含めての三人でのお揃いで、製作者はエヴァンス家にいる謎の仕立て人と呼ばれるクレアだとは、知る由も無い。
前回の、年越しの夜会でのドレスの時も、お揃いの装飾にされていたのだが、ドレスを脱いだ時には疲れ果てていたので尚更気付いていなかったのだ。
そして、ドレスの前身頃に付いて無いのは、アシュリーに気付かれ難くする為に他ならない。
王妃や公爵夫人とお揃いだなんて知れば、畏れ多いと辞退し兼ねないからだ。
だが、それだと困る。
王妃のアナスタシアや、公爵夫人のリラと仲が良い、と言う事を見せ付ける為でも有るからだ。
この社交界でのお披露目は、王妃とクルルフォーン公爵夫人の後ろ楯……詰まりはその夫も容認していると言う事で、アシュリーを蔑んだ場合、その両者をも敵に回すと言う事を宣伝する為でも有るので、今後はアシュリーにバレても問題は無い。
寧ろ、アナスタシアは次のクルルフォーン邸での茶会で自らバラし、アシュリーに容認して貰った上で、三人でのお揃いをリラと二人でお願いしようと企んでいる。
知らなかったとは言え、既にお揃いで着ているのだと知れば、断る方が難しくなるからだ。
そうとは知らずにアシュリーは、リラとアナスタシアの関係を少し羨ましく思っていたのだった。
王都では、王族のダンスが社交シーズンの始まりの合図と言っても良い程に、この日を境に各家が競い合うように夜会や茶会を開くのだ。
まぁ、内輪だけで大規模な夜会や茶会は開かないと言う、例外的な貴族が居たりもするが。
とは言え、王族の誰かがこの時期に、毎年王宮でファーストダンスをする事が決まっていて、近年はずっと国王夫妻がその役目を担っている。
それは、地方から出てきたアシュリーにとっての、初めて見る、大好きなアナスタシアの晴れ舞台なので、その洗練されたとても美しいダンスに、アシュリーは夢心地で眺めていた。
(シア様、素敵過ぎます!息の合った麗しの美男美女!!仲の良い理想の夫婦!華やかで、美しいドレスが軽やかに舞う姿は、可憐な妖精と例えられてもおかしくは無いのです!!)
アシュリーは悪意の無い純粋な好意を向けてくるので、アナスタシアからしても、嬉しい貴重な存在だ。
守らなければと思うのは、当然と言えよう。
そしてアシュリーは、リラの後ろ姿を見て、ドレスの型や色、デザインは違うものの、リラとアナスタシアがお揃いの装飾を使用されてる事に気付く。
(シア様とリラ様は、本当に仲が良いのですね。ドレスは各々の雰囲気に合う全くの別物だけれど、年越しのパーティーと同じ、お揃いの装飾が為されているわ。シア様とリラ様は、同じ仕立て人に頼んでいるのかしら?強い視線が背後から来るのは、二人の仲の良さを羨んでいるからでしょう。わたくしにとっては畏れ多い事ですが、リラ様とシア様は、大切な方々ですもの!わたくしが欠点にならないように、周囲には充分警戒しなければ!)
アシュリーは、リラとアナスタシアがお揃いの装飾だと気付きはしたものの、それが、自分を含めての三人でのお揃いで、製作者はエヴァンス家にいる謎の仕立て人と呼ばれるクレアだとは、知る由も無い。
前回の、年越しの夜会でのドレスの時も、お揃いの装飾にされていたのだが、ドレスを脱いだ時には疲れ果てていたので尚更気付いていなかったのだ。
そして、ドレスの前身頃に付いて無いのは、アシュリーに気付かれ難くする為に他ならない。
王妃や公爵夫人とお揃いだなんて知れば、畏れ多いと辞退し兼ねないからだ。
だが、それだと困る。
王妃のアナスタシアや、公爵夫人のリラと仲が良い、と言う事を見せ付ける為でも有るからだ。
この社交界でのお披露目は、王妃とクルルフォーン公爵夫人の後ろ楯……詰まりはその夫も容認していると言う事で、アシュリーを蔑んだ場合、その両者をも敵に回すと言う事を宣伝する為でも有るので、今後はアシュリーにバレても問題は無い。
寧ろ、アナスタシアは次のクルルフォーン邸での茶会で自らバラし、アシュリーに容認して貰った上で、三人でのお揃いをリラと二人でお願いしようと企んでいる。
知らなかったとは言え、既にお揃いで着ているのだと知れば、断る方が難しくなるからだ。
そうとは知らずにアシュリーは、リラとアナスタシアの関係を少し羨ましく思っていたのだった。
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