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後日談
4 (おまけ)
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数日後の朝に、アシュリー達はセイル領へとゆっくり移動し、その日の夜にセイル領のセイル邸に着く。
邸と言ってるが、港街を見下ろせる要塞と言っても良いような石造りの古城だ。
「ここは砦として、他国の船を見張る役割も兼ねているのだ。普段見掛けない船や、不審な船を発見した場合、喩え自国の船であろうと、船の中を改める権限が有る。拒否をすれば、喩え自国の公爵だろうと、他国の王族だろうと、当然捕縛する権利も歴代の国王陛下から頂いているからな。とは言え、セイル家の者達は、家臣領民を含めて、聞き出すのは苦手だから、エヴァンス家に協力して貰うのだが!」
胸を張って、ドヤ顔をするデュラン。
要は不審者を捕まえたら、エヴァンス家に丸投げしていると言う事なのだが、それでもアシュリーはデュランに称賛の眼差しを向ける。
「凄いのはそれだけじゃないよ。普通に歩いている者でも、セイル家の人間が怪しいと言えば、大概裏で良からぬ事をしていたりするので、セイル家の野性的本能と言うか、動物的勘と言うか、エヴァンス家の者でも驚く程だから」
「はっはっはっ!そうだろうそうだろう!」
ジーンの誉めてるのか貶してるのか、判らないような言葉でも、デュランは笑顔で頷いている。
さすがは脳筋と言うべきだろうか。
そんな会話をしながらも、デュランの案内の下、セイル家の執務室に入れば、そこには他の人へと指示を出す、騎士のような雰囲気の女性が一人いた。
「息子夫婦やデュラン様、デイルお義父様が居ないからと、怪しい者達を見逃す言い訳にはなりませんからね?」
「「「はいぃっっ!!」」」
「あれが私の奥さんのローズだ。格好良いだろう?」
さらりと惚気るデュランに、アシュリーは笑顔で頷く。
「はい。綺麗で格好良い方ですね」
そんな話をしていると、当の本人で有るローズがこちらを向く。
「デュラン様、お帰りなさいませ。エレーナ、身体は大丈夫です、か?……もしかして、その娘が養女のアシュリー嬢ですか?」
アシュリーに気付き、首を傾げながら問うローズに、デュランが答える。
「ああ、そうだ!私達の娘になる、アーシュちゃんだ!」
紹介する時までアシュリーを愛称呼びで呼ぶデュランに、とても良い娘なのだろうと、ローズはアシュリーに向かって挨拶をする。
「初めまして、アシュリー嬢。わたしはローズ=セイルと申します。貴女のような女性を娘に出来てとても嬉しいです。これから宜しくお願いしますね」
「初めまして、ローズ様。わたくしアシュリーと申します。わたくしの事はアーシュとお呼び下さい。わたくしも、ローズ様のような綺麗で格好良いお義母様を持てた事を、大変嬉しく思っております。こちらこそ、宜しくお願い致します」
アシュリーの境遇と事情を、ジーンの手紙で知っていたローズは、アシュリーの元家族達に、強い嫌悪を抱いていたので、新しく出来た義娘をエヴァンス家同様心置き無く可愛がろうと思っていたのだ。
(それが、こんなにも可愛い義娘だなんて、さすがエヴァンス家が嫁にと望んだだけ有りますね)
アシュリーの本当に嬉しいと言う感情が伝わる笑顔を見て、ローズは微笑ましい気持ちでアシュリーを見詰めていた。
こうしてアシュリーは、エヴァンス家とセイル家の家族に、顔合わせの挨拶を済ませたのだった。
邸と言ってるが、港街を見下ろせる要塞と言っても良いような石造りの古城だ。
「ここは砦として、他国の船を見張る役割も兼ねているのだ。普段見掛けない船や、不審な船を発見した場合、喩え自国の船であろうと、船の中を改める権限が有る。拒否をすれば、喩え自国の公爵だろうと、他国の王族だろうと、当然捕縛する権利も歴代の国王陛下から頂いているからな。とは言え、セイル家の者達は、家臣領民を含めて、聞き出すのは苦手だから、エヴァンス家に協力して貰うのだが!」
胸を張って、ドヤ顔をするデュラン。
要は不審者を捕まえたら、エヴァンス家に丸投げしていると言う事なのだが、それでもアシュリーはデュランに称賛の眼差しを向ける。
「凄いのはそれだけじゃないよ。普通に歩いている者でも、セイル家の人間が怪しいと言えば、大概裏で良からぬ事をしていたりするので、セイル家の野性的本能と言うか、動物的勘と言うか、エヴァンス家の者でも驚く程だから」
「はっはっはっ!そうだろうそうだろう!」
ジーンの誉めてるのか貶してるのか、判らないような言葉でも、デュランは笑顔で頷いている。
さすがは脳筋と言うべきだろうか。
そんな会話をしながらも、デュランの案内の下、セイル家の執務室に入れば、そこには他の人へと指示を出す、騎士のような雰囲気の女性が一人いた。
「息子夫婦やデュラン様、デイルお義父様が居ないからと、怪しい者達を見逃す言い訳にはなりませんからね?」
「「「はいぃっっ!!」」」
「あれが私の奥さんのローズだ。格好良いだろう?」
さらりと惚気るデュランに、アシュリーは笑顔で頷く。
「はい。綺麗で格好良い方ですね」
そんな話をしていると、当の本人で有るローズがこちらを向く。
「デュラン様、お帰りなさいませ。エレーナ、身体は大丈夫です、か?……もしかして、その娘が養女のアシュリー嬢ですか?」
アシュリーに気付き、首を傾げながら問うローズに、デュランが答える。
「ああ、そうだ!私達の娘になる、アーシュちゃんだ!」
紹介する時までアシュリーを愛称呼びで呼ぶデュランに、とても良い娘なのだろうと、ローズはアシュリーに向かって挨拶をする。
「初めまして、アシュリー嬢。わたしはローズ=セイルと申します。貴女のような女性を娘に出来てとても嬉しいです。これから宜しくお願いしますね」
「初めまして、ローズ様。わたくしアシュリーと申します。わたくしの事はアーシュとお呼び下さい。わたくしも、ローズ様のような綺麗で格好良いお義母様を持てた事を、大変嬉しく思っております。こちらこそ、宜しくお願い致します」
アシュリーの境遇と事情を、ジーンの手紙で知っていたローズは、アシュリーの元家族達に、強い嫌悪を抱いていたので、新しく出来た義娘をエヴァンス家同様心置き無く可愛がろうと思っていたのだ。
(それが、こんなにも可愛い義娘だなんて、さすがエヴァンス家が嫁にと望んだだけ有りますね)
アシュリーの本当に嬉しいと言う感情が伝わる笑顔を見て、ローズは微笑ましい気持ちでアシュリーを見詰めていた。
こうしてアシュリーは、エヴァンス家とセイル家の家族に、顔合わせの挨拶を済ませたのだった。
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