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後日談

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「初めまして、わたくしアシュリーと申します。不束者ですがご指導の程、宜しくお願い致します。祖父母様方とお目に掛かれて、とても嬉しく思って居ります」


 エヴァンス領のエヴァンス邸前で、態々出迎えてくれていたエヴァンス家の祖父母と、セイル家の祖父に挨拶をする。


「初めましーー」

「儂の孫ーーーっっ!!!ジーンよくやった!ジーンが選んだ娘ならば申し分無いぞ!」


 エヴァンス家の先代当主で有る、ジオラルドの声に被せて喋り出す、セイル家の先々代当主のデイル。

 同格で有る為、どちらが先に喋ろうと問題は無いのだが、ここはエヴァンス領。

 エヴァンス家の人間を先に立てるのが筋だろう。


「デイル、ちょっと後でお話しようか」

「すすっ、済まん!つい、嬉しさが勝ってしまった!!」


 ジオラルドからの笑顔のブリザードに、デイルは少し怯えている。

 ジオラルドのお話、要は理詰めの説教が何よりも苦手なデイルは、逃げたい所では有るが、後にした所でジオラルドが忘れてくれる訳でも無ければ、時間が長引くだけで有る事も、充分理解する程に学習し、ジーンの嫁となる可愛い孫との交流時間が減る事にも繋がる為、なるべく短時間で済むよう即座に謝ったようだ。

 エヴァンス領ではたまに見掛ける光景なので、殆どの者達が気にしない。


「アーシュ、気にしなくても良いよ。いつもの事だから」


 アワアワしてるアシュリーを落ち着かせる為、ジーンが声を掛ければ、他の者達の頷きも視界に入ったのだろう、アシュリーが目に見えてホッとする。

 そんなアシュリーを愛でながら、ジオラルドは再度挨拶を済ませ、長旅で疲れているだろうアシュリーを部屋へと案内させ、休ませる。

 勿論デイルは、個別にお話し合いと言う名のお説教を受ける事になるが。

「セイル家のお祖父様も、エヴァンス家の祖父母様も、皆様とても優しい方々で良かったです。わたくし、ジーン様に選んで頂けて、本当に幸せですわ」


 アシュリーはそう言って、ジーンに微笑む。


「アーシュがエヴァンス家の馬車に乗り込んでくれたからこそ、アーシュをエヴァンス家の花嫁として迎える事が出来たんだ。だから、アーシュ自身の成果でも有るよ。アーシュはもっと我が儘を言っても良いからね?この先家族になるんだから、遠慮は要らないよ?」

「我が儘、ですか?えっと……それでは、この先もずっと一緒に居て下さいね?」


 アシュリーが思い付く我が儘と言えば、これぐらいしか思い付かなかったのだが、ジーンを内心で悶えさせるには、充分な威力を放っていたのだった。
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