630 / 803
後日談
33
しおりを挟む
(アシュリーにサプライズですって?!そんなの絶対させないし、そんなのさせる前にわたしと出会わせ、わたしがそのサプライズを受けるんだから!!)
マディソンと腕を組みながらも、サラはアシュリーに鋭い視線を向ける。
サラが気に食わないのは他にも有る。
マディソンもだが、大半の男達が、アシュリーの姿に見惚れている事だ。
今までその視線はサラに注がれていたが、今では誰もサラを見ない。
見慣れた物より目新しい物に視線を奪われるのは仕方無い事だが、その視線が選りにも選ってアシュリーだと言う事実に、サラの中では怒りが膨れ上がる。
(あの隣に立つ侯爵様の侍女の腕が、頗る良かっただけじゃない!アシュリーであれ程の美女になるのなら、わたしの場合はもっと綺麗になるんだからっ!)
勿論ステラの腕が良いのも有るが、アシュリーの場合は素材の良さを存分に引き出した結果の美しさで、美女に似せようだの、別人に仕立て上げようだのした訳では無い。
普段から目一杯、可愛く化粧を施されてる者に最高級のメイクを施しても、多少は美しくなりはするが、普段は地味に見せ掛けられていた者と比べれば、変化に乏しくなるのは当然の事で有る。
そんな事にすら気付いていないサラは、余程お目出度い思考の持ち主だとしか言えないだろう。
そして、マディソンはマディソンで、アシュリーと仲良くしたいと言っていた彼女達が、アシュリーに嫌がらせや暴言を吐いていたなんて、ジーンがバラした今の今まで全く気付いてもいなかった為、アシュリーに、何故他の女性達と仲良くしないのかと言った事を悔やんでいた。
そして、何よりジーンの言葉が胸に突き刺さった。
(本来で有れば、婚約者だった自分が、彼女達の思惑に気付くべき事なのに、アシュリーが彼女達に散々嫌がらせを受けている事にすら気付かず、何もしなかった。その上アシュリーに対して他の女性と同じような対応をし続けたのだから、不満を抱くのは当然だろう。いつ出会ったのかは知らないが、あれ程魅力的な男がアシュリーに想いを寄せていたのなら、いくら誠実なアシュリーでもグラッと来るだろうな……)
婚約者だから妻だからと、それに甘えて放って置く気は更々無いと言ったジーンの言葉が、思いの外マディソンの心に重く響いた。
自分ではアシュリーに甘えてる気は無かったが、アシュリーの心の変化に、自分で気付けなかった事自体、放置していたと言われても仕方無い。
アシュリーは何か有っても、何でもないと言うから、尚更気に掛けるべきだったのだ。
今更もう遅いとは思うものの、マディソンはアシュリーに謝りたいと思った。
「ねぇ、マディソン。わたし、どうしてもお姉様とお話したいわ」
だから、サラの言葉に頷いてしまった。
仲の良い姉妹だと思っていたから、サラの本性と驚愕の事実を知る事になるとは思いもせずに、ただアシュリーに、謝る事が出来れば良いなと、そんな気持ちで頷いてしまったのだった。
マディソンと腕を組みながらも、サラはアシュリーに鋭い視線を向ける。
サラが気に食わないのは他にも有る。
マディソンもだが、大半の男達が、アシュリーの姿に見惚れている事だ。
今までその視線はサラに注がれていたが、今では誰もサラを見ない。
見慣れた物より目新しい物に視線を奪われるのは仕方無い事だが、その視線が選りにも選ってアシュリーだと言う事実に、サラの中では怒りが膨れ上がる。
(あの隣に立つ侯爵様の侍女の腕が、頗る良かっただけじゃない!アシュリーであれ程の美女になるのなら、わたしの場合はもっと綺麗になるんだからっ!)
勿論ステラの腕が良いのも有るが、アシュリーの場合は素材の良さを存分に引き出した結果の美しさで、美女に似せようだの、別人に仕立て上げようだのした訳では無い。
普段から目一杯、可愛く化粧を施されてる者に最高級のメイクを施しても、多少は美しくなりはするが、普段は地味に見せ掛けられていた者と比べれば、変化に乏しくなるのは当然の事で有る。
そんな事にすら気付いていないサラは、余程お目出度い思考の持ち主だとしか言えないだろう。
そして、マディソンはマディソンで、アシュリーと仲良くしたいと言っていた彼女達が、アシュリーに嫌がらせや暴言を吐いていたなんて、ジーンがバラした今の今まで全く気付いてもいなかった為、アシュリーに、何故他の女性達と仲良くしないのかと言った事を悔やんでいた。
そして、何よりジーンの言葉が胸に突き刺さった。
(本来で有れば、婚約者だった自分が、彼女達の思惑に気付くべき事なのに、アシュリーが彼女達に散々嫌がらせを受けている事にすら気付かず、何もしなかった。その上アシュリーに対して他の女性と同じような対応をし続けたのだから、不満を抱くのは当然だろう。いつ出会ったのかは知らないが、あれ程魅力的な男がアシュリーに想いを寄せていたのなら、いくら誠実なアシュリーでもグラッと来るだろうな……)
婚約者だから妻だからと、それに甘えて放って置く気は更々無いと言ったジーンの言葉が、思いの外マディソンの心に重く響いた。
自分ではアシュリーに甘えてる気は無かったが、アシュリーの心の変化に、自分で気付けなかった事自体、放置していたと言われても仕方無い。
アシュリーは何か有っても、何でもないと言うから、尚更気に掛けるべきだったのだ。
今更もう遅いとは思うものの、マディソンはアシュリーに謝りたいと思った。
「ねぇ、マディソン。わたし、どうしてもお姉様とお話したいわ」
だから、サラの言葉に頷いてしまった。
仲の良い姉妹だと思っていたから、サラの本性と驚愕の事実を知る事になるとは思いもせずに、ただアシュリーに、謝る事が出来れば良いなと、そんな気持ちで頷いてしまったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9,205
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる