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後日談

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 ジーンがレオニールと少しだけ雑談をして、レオニールが離れると、数人の女性達が近寄って来た。


「家を出たと聞き、とても心配してましたのよ、アシュリー様」

「本当にご無事で良かったです。でも、少しぐらい、相談して頂きたかったですわ。わたくし達はお友達ですのに」

「そうよ。知っていたら、協力致しましたわ!アシュリー様は大切なお友達ですもの!」


 口々にアシュリーと友達だったとアピールする女性達。

 その言葉にアシュリーの顔は思わず強張っていた。

 勿論、それに気付かないジーンでは無い。


「お友達、ですか。一体どのようなお友達なのか、是非とも聞きたいな」


 ジーンの言葉に、アシュリーは過去の体験が脳裏を過り、思わずジーンの腕に力を入れてジーンを見上げると、ジーンはアシュリーを見返し、優しげに微笑んだ。


「大丈夫だから、私に任せなさい」


 アシュリーにそう言い、その場に居る女性達へと目を向けたジーンの表情を見て、瞬きをするアシュリー。

 その顔は、アシュリーに見せる物とは全く違い、笑みは無い。


「それで、お友達と言うからには、私よりもアシュリー嬢の事を知っているだろうから、貴女方とはどんな話をしていたのか、興味が湧くな。アシュリー嬢は流行や王都に興味が無いから、普通の会話では盛り上がらないだろう?」

「りゅっ、流行に、興味が無い?」

「普通の会話は盛り上がらない?」


 思わず女性達が、顔を引き吊らせて呟くので、ジーンは口元に笑みを浮かべ、逆に問い返すものの、その目は全く笑っていない。


「おや?お友達なら、当然知っている筈ですよね?」

「もっ、勿論ですわ!」

「存じてります!」

「本!本に付いて、盛り上がった事が有りますわ!!」


 誰かからの情報を思い出したのか、一人が自信満々で答えるのだが、勿論ジーンは更に突っ込んで聞く。


「普通の令嬢が読む類いの本は好まないのに、どんな本で盛り上がられたのかな?私には妹が居て、その妹も女性達が好まない本を好んで読むので、趣味が合い、盛り上がったと言っていましたが?」


 リラもアシュリーも、ジャンルを問わずの雑食な本好きでは有るが、どちらかと言うと男性が好むような、史実や経済と言った本が特に好きだったりするのだ。

 そしてそれは、アナスタシアにも該当し、男性顔負けの濃い討論を繰り広げるのだ。

 だから、本と言えば甘い恋愛小説しか思い浮かばない貴族令嬢を相手に、話が盛り上がる事はあまり無い。

 それを踏まえた上での追及だ。


「本当にアシュリー嬢と親しいので有れば、好みのジャンルぐらいは知っていて当然だと思うのだが?」


 ジーンは先程までとは打って変わり、低く冷めた声で彼女達に再度追及するのだった。
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