619 / 805
後日談
21
しおりを挟む
長い道程を、快適なエヴァンス家の馬車で進み続けて、ゴート領に近い子爵領、ステラをゴート家に潜入させる際に、協力して貰った子爵家に到着すると、その子爵と子爵令息が出迎えてくれた。
「久し振りです、ジーン殿。そちらの令嬢が、あのゴート伯の?少し見なかっただけで、随分お美しくなられましたね」
「久し振りです、レッグス殿。妹の結婚式以来ですね。彼女は私の花嫁ですから、絶対に手を出そうだなんて、思わないで下さいね?」
笑顔で牽制するジーンにレッグスは青ざめ震える。
実は、このレッグスと呼ばれた子爵令息は、ジーンの学院時代からの知り合いだ。
ただし、周囲からは身分差と力関係の差で、只のパシリかジーンのお情けだと思われていたようだが。
「絶対に思いませんから、本当勘弁して下さいっ!!私は妻一筋ですから!妻一筋なんですからぁっ!!貴方の花嫁や妹君に手を出そうと企む、命知らずと一緒にしないで頂きたいっ!!!」
因みに彼は、学院時代にジーンの恐ろしさを目の当たりにした経験の持ち主だ。
幸か不幸か、自身に向けられた物では無かった為、今でもこうして会話は出来ているが、未だにちょっとしたトラウマとなっている為、顔色が真っ青で、涙目になってしまうのは仕方の無い事だろう。
因みに、黙りを決め込んでる子爵も、ジルギリスと同じ学年だったので、ジルギリスの恐ろしさを目の当たりにしていたりする。
親子揃って不幸なと言いたい所だが、敵に回さずに済んだのは幸いだろう。
「ジーン様は、ここの子爵令息様と、仲が宜しいのですよね?」
あまりの怯えっぷりに、思わずキョトンとしながらも、アシュリーは首を傾げて聞いてみる。
「ああ。彼は学院時代からの付き合いが有る者だからね。友人……とまではいかなかったものの、仲の良かったクラスメイトの一人だよ」
学院のクラス分けは、入試の時のテストと年度末のテストで分けられる為、身分に依る物では無いが、高位貴族は学院前に、優秀な家庭教師を息子に付ける事が多い。その為、余程の馬鹿か優秀かで無い限り、同家格が集まるクラスになるのだ。
つまり、レッグスは優秀な人材だと言えるのだが、その為に他の貴族から目を付けられ易かったのだ。
そしてそれは、ジーンにも目を付けられてしまったと言う事に他ならない。
レッグスは本来次男だったのだが、嫡男が学院に在学中の時ジーンに絡んだ末、後継ぎ失格の烙印を父親から押され、レッグスは次男で有りながら、家を継ぐ事になったのだ。
因みにその馬鹿な嫡男は、レッグスが後継ぎとなった事で家を飛び出すも、世間知らずのお貴族様がやっていける程甘い世の中では無く、身ぐるみを剥がされた挙げ句、空腹に耐え兼ねて盗みを働き暴れ、牢屋行きになり、他領からの通報を受けた父親は呆れ果て、こんな阿呆は息子じゃないから、罪人として裁いて頂きたいと言ったそうだ。
「久し振りです、ジーン殿。そちらの令嬢が、あのゴート伯の?少し見なかっただけで、随分お美しくなられましたね」
「久し振りです、レッグス殿。妹の結婚式以来ですね。彼女は私の花嫁ですから、絶対に手を出そうだなんて、思わないで下さいね?」
笑顔で牽制するジーンにレッグスは青ざめ震える。
実は、このレッグスと呼ばれた子爵令息は、ジーンの学院時代からの知り合いだ。
ただし、周囲からは身分差と力関係の差で、只のパシリかジーンのお情けだと思われていたようだが。
「絶対に思いませんから、本当勘弁して下さいっ!!私は妻一筋ですから!妻一筋なんですからぁっ!!貴方の花嫁や妹君に手を出そうと企む、命知らずと一緒にしないで頂きたいっ!!!」
因みに彼は、学院時代にジーンの恐ろしさを目の当たりにした経験の持ち主だ。
幸か不幸か、自身に向けられた物では無かった為、今でもこうして会話は出来ているが、未だにちょっとしたトラウマとなっている為、顔色が真っ青で、涙目になってしまうのは仕方の無い事だろう。
因みに、黙りを決め込んでる子爵も、ジルギリスと同じ学年だったので、ジルギリスの恐ろしさを目の当たりにしていたりする。
親子揃って不幸なと言いたい所だが、敵に回さずに済んだのは幸いだろう。
「ジーン様は、ここの子爵令息様と、仲が宜しいのですよね?」
あまりの怯えっぷりに、思わずキョトンとしながらも、アシュリーは首を傾げて聞いてみる。
「ああ。彼は学院時代からの付き合いが有る者だからね。友人……とまではいかなかったものの、仲の良かったクラスメイトの一人だよ」
学院のクラス分けは、入試の時のテストと年度末のテストで分けられる為、身分に依る物では無いが、高位貴族は学院前に、優秀な家庭教師を息子に付ける事が多い。その為、余程の馬鹿か優秀かで無い限り、同家格が集まるクラスになるのだ。
つまり、レッグスは優秀な人材だと言えるのだが、その為に他の貴族から目を付けられ易かったのだ。
そしてそれは、ジーンにも目を付けられてしまったと言う事に他ならない。
レッグスは本来次男だったのだが、嫡男が学院に在学中の時ジーンに絡んだ末、後継ぎ失格の烙印を父親から押され、レッグスは次男で有りながら、家を継ぐ事になったのだ。
因みにその馬鹿な嫡男は、レッグスが後継ぎとなった事で家を飛び出すも、世間知らずのお貴族様がやっていける程甘い世の中では無く、身ぐるみを剥がされた挙げ句、空腹に耐え兼ねて盗みを働き暴れ、牢屋行きになり、他領からの通報を受けた父親は呆れ果て、こんな阿呆は息子じゃないから、罪人として裁いて頂きたいと言ったそうだ。
23
お気に入りに追加
9,278
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番
すれ違いエンド
ざまぁ
ゆるゆる設定
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる