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後日談

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「アシュリー嬢、長い間お待たせして申し訳無かった。仕事の段取りが概ね片付いたので、明日から貴女の実家の方へと向かいましょう。とは言っても、実家を訪ねるのでは無く、あちらで開かれる、知り合いの大規模な夜会に参加させて頂いて、貴女の元家族の前で、貴女と私の婚約発表をさせて頂く予定です。貴女の実家だと、周囲に大嘘を吐く可能性が有りますからね。証人は多い方が良いですから。私は貴女を手放す気は有りませんので、私の傍を離れないで下さいね?前の婚約者に同情して、庇ったりしないで下さいね?」


 ジーンが念押しのようにアシュリーに言えば、アシュリーもジーンの言葉に頷き、返答する。


「わたくし、ジーン様のお傍を離れませんわ。わたくしの婚約者は前の婚約者では無く、ジーン様ですもの。ジーン様こそ、わたくしの義妹に見惚れたりしないで下さいね?」


 少し不安そうにするアシュリーに、ジーンは笑顔でアシュリーを抱き締める。


「勿論、そんな事はしないよ。貴女は日に日に美しくなるので、前の婚約者が返せと言い出しそうですね。勿論、私は貴女を返す気なんて毛頭有りませんし、手放した花は極上の一級品だったと思い知らせてやるつもりですから、貴女は私の横で、幸せそうにしていて下さいね」

「もももも、勿論ですわ!」


 アシュリーは顔を真っ赤に染め上げながらも、ジーンの背中に恐る恐る手を回す。

 そんな可愛いアシュリーを愛でながら、ジーンは家の者に指示を出す。と言っても、前以まえもって準備を進めていたので、最終確認をするだけなのだが。

 因みに今回、マッドはお茶会参加後、自ら道中の護衛に混じると申し出た。

 面識の無いままだったら怖がられる恐れも有ったので、参加する気は無かったのだが、お茶会で会えたし、アシュリーの事を気に入ったので、道中にもっと仲良くなるのよぉ♪といった思惑からだ。

 そしてその日は、いつも通り賑やかな晩餐を済ませ、明日からの長旅に備えて、確りと睡眠を取り、翌朝エヴァンス家の馬車で王都を旅立つ事にする。

 王都を出発する前に、クルルフォーン邸に寄れば、リラが手作りのお弁当と、お菓子を差し入れてくれた。

 ジーンの乗る馬車には、ジーンとアシュリー、そしてステラが乗った。

 ステラは実家に出入りしていたので、見付かれば大変な目に合うのではと心配したが、ステラは平然と、メイクで別人仕様にするから大丈夫ですよと言い切った。


「私の兄弟子の声真似や、妹弟子のスピードと言った腕前には劣りますが、それでも一応そこそこの腕は有るつもりですから心配無用です。アシュリー様も、私が出来うる限りの美しさを、目一杯引き出してご覧に入れますわ♪」


 その言葉にジーンは頷き、アシュリーに微笑みながらステラに返答した。


「楽しみにしている。本番は思う存分彼女を引き立ててくれ」


 その言葉を聞いたステラは、任せてくれと言わんばかりに満面の笑みを浮かべたのだった。
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