氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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お気に入り6500人突破記念♪ ~ある日のやり取り~

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 ある日、先代セイル家当主のデュランに、ジーンからの手紙が届いた。

 そこには、嫁に迎えたい娘がいるので、養子縁組をしないかと言う内容だった。

 それを読んだデュランは、心の中で大いに叫んだ。

(娘ーっっ!!!あのジーンの嫁に選ばれたと言う事は、相当良い娘だぞ!でなければ、養子縁組なんて事にはならん!私の娘。良い!来て早々、嫁に出さねばならぬのは残念だが、娘も欲しかったのだ!娘と言えば、あれだな、あれ!『娘は嫁にやらん!!』あの文言を、一度で良いから使ってみたかったのだ!よし、そうと決まれば……)

 デュランはジーンへの返答に、養子縁組の承諾と、娘は嫁にやらんと書いた手紙を送る。

 そして、その手紙を読んだジーンからの返事が来た。

 ワクワクしながらジーンの手紙を開けると、簡素な文が書かれていた。

『それなら、養子縁組の件は他の方に頼みます』


「……。そっ、それはダメだ!待てジーン!!私の娘~~~っっ!!!」


 アワアワと、デュランが焦る。

 今から王都に行って、ジーンを説得するべきか、他の候補者と成り得る相手全員に、話が来たら辞退してくれと頼むか。

(私の娘~っ!!こんな事ならばあんな事は書かずに、ジーンに承諾の返事だけをしておくのだったぁ!!)


「誰か、馬の用意をしてくれ!私は旅の用意をする!王都に行かねば!!」

「それには及びませんよ。はい、もう一通。若様からです。デュラン様が王都に行くとおっしゃった時点で渡せとの事でしたので」


 返信の手紙を持ってきたエヴァンス家の使用人が、ジーンに頼まれたタイミングでデュランにもう一通の手紙を見せる。

 そこにはこう書かれていた。

『下らない文を書いてくる前に、承諾書を作成して送って下さい。次は無いですからね。それと、今の時点で王都に来た場合、伯父と言わず、変な人だから相手にするなと彼女に言い聞かせ、伯父上が苦手とする辺境伯の方に養子縁組の話を持っていきますからね』


「……私が悪かった~っ!!」


 ジーンの冷ややかな声を思い起こさせる文に、デュランは手紙に向かって即座に謝り、養子縁組の手続きを進める為に、書斎へと駆け込む。

 それを見ていたエヴァンス家の使用人は、呆れた溜め息を吐く。

 そもそも、ジーンの花嫁になるアシュリーに対して、誰にも文句を言わせない為の養子縁組で有り、結婚前提の養子縁組だと言うのに、嫁に貰えない家に養子縁組させるなんて意味が無い。

 ジーンが冷たい対応をするのは当然だろうと思っていた。





*****

 ※いつも有難う御座います!
 ジーンがエヴァンス領に居るデュランに、アシュリーの養子縁組を持ち掛けた時の手紙のやり取りでした♪
 デュランからの手紙を見て、ジーンが鬱陶しそうに舌打ちしてる姿が目に浮かびます(笑)
 皆様の気分転換に、この作品が少しでもなれたら幸いです。
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