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後日談

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「冗談でしょ?!罪人だなんて、そんなの嫌よ!!知らなかったんだから、大目に見なさいよね!」


 女傭兵は大声で叫ぶも、ライラとマッドは冷たい視線を向ける事を止めない。


「嫌も何も、貴女に拒否権は有りませんよ。他国民や、法を知らなかったからと言う理由で罪にならない国が有ったら、その国は無法地帯となり、国として成り立ちませんから。極端な話、法を知らなければ、殺人や強姦等をしても、罪に問われない事になってしまうじゃ有りませんか」

「これが二人切りの時で、周囲に人がいなけりゃ未だしも、お前は周囲にはばかる事無く、大声で喋っていたんじゃないのか?迂闊にも程が有るだろ。大勢の証人を自ら作ってるんだからな」


 そんな二人に、取り繕うつもりなのか、更に知らないと言い張る女傭兵。


「そんな、だって、ダンが貴族の使用人だなんて知らなかったんだもの!!」


 知らないと言う事は、自分の無知さ加減を晒すような物なのだが、それすらも気付いていない様子に、ライラは呆れた声を出す。


「だから、知らなかったでは済まない問題だと言ってるでしょう。頭が悪過ぎる人ですね。拘束されてても文句は言えない状態だと理解して下さい。もっとも、このまま外に出たら、昨日の事を知っている人達が、貴女を捕まえようとするでしょうね。僕は兎も角、マッドさんはこの近辺で、とても顔が広いですから、皆、マッドさんが王弟公爵の使用人として働いているのは知っていますし、貴族の使用人として雇って貰ったのは最近だし、それまでマッドさんはこの下町で傭兵稼業をずっとされていましたので、逃げた所で無駄ですよ。それに、貴女が相手に怪我をさせたら、重罪人として確定してしまいますから。試してみますか?住民に手を出し、更なる反感を買うか、このまま大人しく、違う場所に行くか。因みに、更なる反感を買った場合、この国で死刑も有り得ますからね」


 貴族に対する不敬罪として、死刑にするのは簡単だろう。

 それこそ探せば沢山の証人がいるのだから。

 とは言え、今まで散々迷惑を掛けて来たのだから、その分のお返しをしたがるのは当然の事だろう。

 まぁ、一番の迷惑を被っていたのは団長では有るだろうが、手に負えないので有れば、その元凶を放り出すなり、何なりとするべきだったのだ。

 それでも、団長はよくやった方だとは思うが。


「今まで、散々大目に見て貰っていたそのツケを、今回きっちり払うんだな」


 マッドはライラの腰を引き寄せる。


「ちょっと!あたしの部屋で 勝手にイチャ付くんじゃないわよ!!そもそもマッドは、女が嫌いでしょう?!何で結婚なんかしてるのよ!!」

「心底惚れた相手が出来りゃ、結婚するに決まってんだろ。俺ぁ女が嫌いっつうよりは、お前みたいな女が嫌いなんだって、いい加減気付けや」


 マッドはキッパリと言い切った。
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