氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
上 下
591 / 805
後日談

7

しおりを挟む
「そんで?あの馬鹿女をどうする気か、団長の意見を聞かせて貰えるか?」


 マッドが団長に聞くと、真っ青な顔色でマッドに言った。


「あの馬鹿は、切り捨てる!王族と言うか、そもそもダンに喧嘩売る事自体が間違ってるのが解らないなんて、馬鹿にも程がある!!!知り合いだろうと連れが居る場合、どんな関係かも判らないから、丁重に扱えと教えて居たんだぞ!!?どこでどんな繋がりが有るか分かったもんじゃないから、久し振りに会う相手や初対面の相手には、あれ程気を付けろと言ったのにっ!!」


 団に属して居るのなら、団長の言葉を聞くのが当然では有るが、自己中な人間は、他人の言葉を聞かない者が多く、それが自分よりも立場が上だろうとお構い無しだったりするのだ。

 何度言っても聞きやしない。

 世の中、そう言うタチの悪い人間も居るのだ。


「切り捨てんのは良いが、この近辺でするのは止めてくれや。舞い戻れるような場所だとあいつの事だ、報復しようと企んで来る恐れが有る。まぁ、勿論、報復しに来た段階で、一緒に来た阿呆共々、完膚無きまで叩き潰し、罪人として、それに相応しい場所へと送り込んでやるが、ウチの主人は奥方との時間を邪魔されるのを、何より嫌うからなぁ。元の古巣に責任取らされんのは嫌だろうし、俺だって不機嫌な主人の相手はごめんだからなぁ」

「そうだな。追放は遠方で、持ち金では帰って来れないような場所にしなければ、更なるとばっちりを食らい兼ねん。いっそ、他領域に行く船に乗せてやった方が良さそうだな」

「船を使い、他領域に行くなら、セイル領から出る船を使用し、セイル家から罪人扱いの書状を書いて頂けると思います」

「……誰だ?」


 唐突なライラの声に驚く団長。


「ああ、まだ紹介してねぇな。俺の嫁さんのライだ。手ぇ出そうとするなら団長だろうと容赦しねぇからな?」


 マッドは身体を横に移動させ、ライラを見せると、ライラの姿を目にした団長は、唖然としている。


「よっ……嫁?!お前まで結婚してたのか?!」

「俺の方がダンより早いがなぁ。今では可愛い息子も居るが、ダンに傭兵団のあの女から喧嘩売られたって聞いて、本当は知り合いに見せる予定だったが、急遽子供を預けたんだよ。あんな女と息子を会わせる訳にはいかねぇからな。何しやがるか、分かったもんじゃねぇ」


 マッドがそう言えば、団長や団員も確かになと納得し、頷くばかりだ。


「だが、マッドまで結婚してるとは思ってもいなかったぞ。どれだけ言い寄られても、女を近寄らせる事すら無かったのになぁ」


 当然だろう。何せマッドは身体は男でも、心は女なのだから。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...