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後日談

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 リラ似のカレンが産まれて、クルルフォーン家は益々賑やかになっていく。

 本日の着ぐるみは動物シリーズで、各々好きな動物になっているのだが、その手には、クレアが手作りで作ったぬいぐるみを持っていると言う、可愛い光景に出会えるだろう。

 ただし、クルルフォーン邸には、余程親しく無ければ入れないので、この着ぐるみ動物園が、開催されてる事を知っているのは極僅かだ。

 しかし、社交界の方では、リカルドが産まれた次の年の、年越しパーティーで、王宮に借りた部屋に、リカルド達に着ぐるみを着せて連れて行った為、王都で年越しをした子持ちの貴族連中が、エヴァンス家に問い合わせて居たそうだ。

 曰く、どこで買えるのか、どんな種類が有るのか、サイズは等々、色々聞かれ、最初はエヴァンス家に居る者が作ったので、売り物では無いと答えると、見るからに落ち込んだので、一応こういう事態を想定していたので、同じ物をエヴァンス領内で作れるように、手配はして有るから、注文は受け付けますが、全て手作りですので、デザインが多少変わったりする事、返品は基本受け付けない事、オーダーメイドとなる為、料金が掛かる事を了承して貰い、注文を受ける際、種類は豊富に有る事、親子でお揃いになるカチューシャとベルトが有る事も言えば、愛妻家の旦那達は喜んで、子供とのセットを選び、シーズン中、その家に遊びに来た子育て世代の夫婦に拡散されて、大いに流行った。

 因みに、王都の仕立て屋にも協力を依頼する為に、コランが働いていた店、エヴァンス家とクルルフォーン家が懇意にしている店へと声を掛け、参加する店を集めて、作り方とエヴァンス家公認の店と言う認可を渡す代わりに、その商品の売上の一部をエヴァンス家に納める事で話を付けた。

 クルルフォーン邸の着ぐるみ動物園では、今日も楽しそうな子供達の声が聴こえてくる。

 そしてヨルドは相変わらず、子供達に周囲をぐるぐると回られている状態だ。


「いつも思うのですが、彼は見えない何かが身体から出ているのかしら?いつもあんなに子供達に回られるなんて、物凄く羨ましいです……」

「アナスタシア様、ヨルドさんは別格です。この前なんて、餌も無いのに、野生動物が近付いて来てましたから」

「野生動物……人に馴れているのでしょうか?」

「違うと思います。後、エヴァンス家に居る番犬も、あっさり手懐けて、犬の調教師の人が、物凄く落ち込んでましたから」


 エヴァンス家の犬達は、見知らぬ人間に懐く事は滅多に無い。

 見知らぬ人間にまで懐いていたら、番犬の意味が無いからだ。

 それなのに、ヨルドに関しては例外だったようで、あっさりと懐き、服従すらしたそうだ。

 その時の調教師は、妻の浮気を目の当たりにした気分だったそうだ。
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