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後日談

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 サイナスはモーラから、輝く程の笑顔を貰い、サイナスの返事に頷いてくれたので、モーラを抱き締め、腕の中へと閉じ込める。


「有難う、モーラ。大好きだよ」


 モーラの耳元で囁けば、モーラもサイナスに言葉をくれる。


「わたしも、ずっとサイナスが好きでした。嬉しいです、サイナス、大好きです!」


 モーラが身体を擦り付けて来るので、サイナスは、子供の頃よりも断然柔らかくなったモーラの身体を抱き締め、思わず直に触ってみたいと思ってしまうが、久し振りの再会でいきなりそんな事をすれば、身体目当てだと思われてしまい兼ねない。

(ずっと僕が好きだったって事は、モーラだって初めてだ。なら、時間を掛けて、休みの日にたっぷりと可愛がってあげなくちゃ!怖がらせては元も子も無い。先ずはキスで慣らせて、それからだ!!)

 そうは言ってもサイナスも男だ。好きな女を抱き締めて、身体が反応しない訳が無い。

 それに、モーラだって子供では無いので、結婚を前提にと言う事が、どういう事なのかは解っているつもりだし、それを教えてくれるのがサイナスなら、怖いとは思わない。


「サイナス?」

「ん?」

「わたしに、沢山の初めてを下さいね?」

「そんな事を言ってると、襲っちゃうよ?」


 サイナスはモーラを抱き締める腕に力を入れるが、下は辛うじてモーラの身体に当てて無い。

 本当に良いのか、確認だけはして置かないと、どこまでしても良いのかが判らない。

(今ならまだ、もう少し先までは、逃がしてあげられる。幸せにすると言ったんだ。無理強いはしない。でも、モーラが許してくれるなら、許してくれる所までは、関係を進めてみたい。ずっと、夢だったんだ。モーラが一人の異性だと気付いた時には、離れなくてはならなくて、だけど、離れると解ってて告白しても、振られたりしたら仕事に手が付かなくなるし、帰って来辛くなるだけだからって。仮に両想いでも、会えない分、気が気じゃ無くなるって思ってたから……)

「サイナスなら、良いですよ?結婚がどういう事かぐらいは、解ってるつもりですから。それに、ずっとサイナスだけが好きだったんです。だから、サイナスがわたしに、色々と教えて下さい」

「分かった。ただし、僕もずっと執事見習いとして働いていたから、まだ一度も何も、誰ともしてない。深いキスだって初めてなんだ。だから、下手でも怒らないで欲しいな」

「怒りません。寧ろ、嬉しいです。だって、サイナスなら、わたしを最初で最後の相手にしてくれるでしょう?」

「勿論だ。じゃあ、その手の宿に、連れて行っても良い?その……モーラが許してくれる所まで、してみたい。嫌になったら言って?無理強いはしたくないから我慢する。でも、我慢出来なかったらごめんね?」


 そう言ってサイナスは、モーラを連れ込み宿へと連れ込んだ。
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