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後日談

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 ダンは一度、部屋へと戻り、シルビアを抱えて階下に降りる。

 シルビアは恥ずかしがっていたのだが、階段を落ちられるよりはマシだとダンが抱えて降りたのだ。

 階段を降りたら一応下ろし、それでもヨタ付いてる為、腕を貸す。

 そしてリラのいるサロンへと顔を出せば、いつものシルビアで、リラはホッと安心していると、レベッカがシルビアに話し掛ける。


「シルビアさん、公爵様に会うのなら、あたしがささっとお化粧しますよ?」


 その言葉にシルビアは甘え、レベッカに軽く化粧を施して貰う。

 それから少しリラ達と喋っていると、エドワルドが帰って来た。


「ただいま。ダンの恋人が来ているとサイナスから聴いている」


 本来ならば、リラが玄関まで迎えに行くのだが、リラはいつ産まれても不思議では無い状態の妊婦なので、歩かなさ過ぎても駄目だと医師から言われている為、お散歩等してはいるが、エドワルドがいる時かダンかサイナスに付き添って貰い、一人での行動は、何か起きてからでは遅いので、絶対に避けるように言われているのと、玄関へのお迎えは、子を産んでからにして欲しいと、エドワルドに頼まれているのだ。

 本当は、今直ぐにでも駆け寄りたい所だが、自分だけの身体では無いので、ジッと我慢しているのだった。


「お帰りなさいませ、旦那様。彼女がダンの恋人で有り、わたくしの、幼い頃の護衛でも有ったシルビアですわ♪わたくし、シルビーには、とてもお世話になっているのです!」

「ダンと、お付き合いさせて頂いている、シルビアと言います!以後、お見知り置きを」

「知ってはいるだろうが、私がリラの夫のエドワルドだ。ダンから聴いているかも知れないが、近日中に引き抜くから、そのつもりで居て欲しい」

「はい。ご配慮、有難う御座います。この先も、宜しくお願い致します」


 シルビアのキリッとした態度は、エドワルドに取って好感度が高く、新鮮だ。

 何せ、エドワルドに近付く女性達の殆どは、エドワルドに媚びを売り、喩え自身に恋人や伴侶が居ても、お構い無しであからさまに言い寄って来る、迷惑以外の何物でも無い女性達だからだ。

 さすがにエヴァンス家の使用人達に、そんな恥知らずな女性は一人たりとも居なかったが。


「子供が産まれたら、リラと共に守ってくれ。それと、リラの子供の頃の話も、聞いてみたいな」

「勿論です!リラ様は、天使のようなお子でしたよ」


 子供やリラの子供の頃と聴いて、シルビアの瞳に輝きが増す。


「それは、じっくりと聞きたいな」

「エド様?!わわわわっ、わたくしの子供の頃なんて、どうでも良いのです!」

「そういや俺を風の王様とか言ってたなぁ」

「風の王様?」

「俺のお袋がモデルの童話ですよ。エヴァンス家のどっかに有るらしく、昔、何度か話をねだられましたよ……」


 ダンが遠くを見るような目をする。


「あっ、あれは、ダンのお母様がモデルだなんて、知らなかったのです~!」


 エドワルドは、面白そうな話に耳を傾けた。
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