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後日談

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 一頻ひとしきり振って、呼び鈴を鳴らし終えたリラが、再びダンの傍に戻ってくる。


「ダン、ダン、お話して?リラの知らない、お話して?」


 リラにねだられ、乞われるまま、リラの知らない、他国の話を披露する。

 そんな事をしていると、部屋の扉をノックされ、食事が運ばれて来た。持って来たのはシルビアだ。


「どどどどっ、どうぞ!」

「食べてね?沢山!」

「俺が食べても良いのか?」

「勿論です!先程は、有難う御座いました」


 シルビアがダンに頭を下げた為、ダンの目の前で、シルビアの髪がサラリと滑り、キラキラと輝く。

(この国じゃあ、俺みたいななりの、見掛けん色合いには、ことごとく蔑むのが礼儀かと思ってた程なんだがなぁ)


「いや、こっちこそ有難い。んじゃ、遠慮無く頂くわ」

「シルビー、ダンね、ダンね、遠いお国から来たのよ?後ね、後ね、すっごく遠いお国には、一年中溶けない、氷の河が有るんだって!」

「正確には溶けちゃいるんだが、表面は氷で覆われてんだよ。一応河だからな。パッと見動いて無いように見えるが、その氷が押し出されて海に落ち続けてるから、ゆっくりとだが動いてんだよ」

「後は?後は?」

「砂漠……海の水が、全部砂になってるような場所も有るなぁ。と言っても、海程広くは無いがなぁ」

「他は?他は?」

「こことは違う領域の場所にも、ここと同じ花が存在するらしいぞ?」

「ディーラン、有る花?」

「ああ。カルハゼでは、なんつったっけな?確か……リゼーテの花だ!」


 因みに、カルハゼと言うのは、ディーランが共通語として使う、カルハゼ語の領域圏内の事を言う。


「リゼーテ、山咲く。有る?他の領域」

「クルセイの領域では、リーガって呼ばれてた筈だ」

「リゼーテ!リーガ♪」


 リラはとてもご機嫌で、食事をするダンとの会話を楽しんでいるようだ。


「ご馳走さん。さぁ~て、俺ぁそろそろおいとまさせて頂くな」

「駄目ぇ!ダン、リラと一緒いるのぉ!ずっと一緒、帰っちゃやぁ~!お願い!どこにも行かないでぇ~!」


 リラの目が、次第に潤み、大粒の涙をポロポロ流す。


「ぅお?!泣くな!嬢ちゃん!暫く居てやっから!」

「ほっ……本当?どこ、にも、行かない?」

「ああ、暫く、この近辺の宿にでもーー」

「駄目ぇ!ダン、お家、いるのぉ~!」

「いやいや、さすがに充分世話んなってっから、これ以上ーー」

「行かないで、行かないでぇ、帰っちゃやぁ~!」


(どうするよ、この状況……)

 ダンは珍しく困った。


「あー、じゃあ、家のもんに……お嬢ちゃんの親にちゃんと許可を取れたらな?」


 そしてダンは、リラの親に、丸投げした。
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