氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 そんな時、一台の黒塗りの馬車が、遠くから近付いて来た。

 マッド達は、その馬車が通り過ぎるのを待っていたが、その馬車は速度を落とし、マッド達の側で止まる。


「あらぁん?この馬車……」

「マッドさん!クルルフォーン邸に向かう途中ですか?丁度良かったです!一緒に乗りませんか?新作のドレスが出来上がったので、早く見て貰いたいんです♪」


 中からひょっこり顔を出したのは、侍女服を着た女性。


「クレアちゃん!新作?!是非とも見たいわぁ♥」

「新作のドレス?」


 マッドとコランが反応し、マッドしか見てなかったクレアは、訝しげに他の二人を眺める。


「……そちらの方達は、どなたですか?」

「ああ、こちらは仕立て屋さんのコランさんと……あっ、あたしの恋人のライちゃんなのぉ♥」

「恋人?ライ?……ああ、例の?」


 クレアは口の中で呟き、その声はマッドにしか届かない。


「ええ、そう言う事よ♪」


 マッドが照れながらも頷き、それを聞いたクレアの目がキラリと輝き、クレアはライラを上から下までじっくりと観察した。


「マッドさん、ご結婚の予定は?」

「すっ、するつもりだけど、それがどうかしたのぉ?」

「式は?」

「えっ、そそそそ、それは無理よぅ!」

「何言ってんですか!ウエディングドレスは女性の憧れですよ?!マッドさんだって憧れた事ぐらい有るでしょう?!」

「あっ……あたし?そりゃあ、ウエディングドレスは憧れだけどぉ……」


 さすがに自分が着るなんて、無理な話だとマッドは思ってるのだが。


「でしょう?!じゃあ、マッドさんのウエディングドレスは、わたしがーー」

「私が「作ります!」」


 クレアが声を被せて来た相手を見やる。


「ちょっと貴方、いきなり話に割り込まないでくれる?マッドさんにドレスを作るのは、わたしの役目よ」

「わっ、私だって、マッドさんのウエディングドレスを作りたいです!せめてもの祝福として!!」

「作ると言うけど、貴方は一体どこで作る気なの?仕立て屋と言うからには、お店が有るのでしょうけど、貴方は店主なの?」

「違います……」

「店主の許可無く作れるの?場所は?時間は?デザインは?言っときますけど、一朝一夕で出来る物では無いのよ?わたしは好きに使用して良いと言われる部屋が有るし、マッドさんのドレスを作りたいと言えば、(リラ様が主体で)皆が協力してくれるだろうし、隣のライさんの正装も作る気だけど、店主でも無い貴方に、時間や場所は有るのかしら?」

「……それなら、休日だけでも、お手伝いさせて頂けませんか?」

「そう言われても……わたしは貴方の腕を知らないし、迂闊にクルルフォーン邸には入れられないわ」


 クレアはサラッと断ったのだが、コランはどうしても諦め切れなかった。
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