氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
上 下
504 / 805
後日談

37

しおりを挟む
 夕方、マッドに支えて貰いながらも、二人で共に、職場の娼館へ戻ると、ライラが娼婦達の前で、いきなり宣言をした。


「ボクとマッドさん、結婚する事になりましたので、これからも宜しくお願いします」

「らっ……ライちゃん?!」


 思わずマッドがライラの口を手で塞ごうとするが、既に遅く、ライラの言葉をガッツリ聴いた娼婦達が、二人に詰め寄って来る。

「「「結婚?!?」」」

「ちょっとどういう事よ?!詳しく教えて!!」


 目をキラキラと輝かせながら、さぁ吐け!と言わんばかりに詰め寄られ、マッドはタジタジだ。


「もしかして、ライ君、マッドちゃんと寝たの?!」

「剣の訓練に行くとか言ってたけど、あれは嘘?!」

「うっ、嘘じゃ無いわよぉ!剣の訓練にはちゃんと行ったんだからぁ!!」

「あ~、マッドちゃん、顔赤い~♪何だかとっても嘘臭いわぁ~♪」

「嘘じゃ無いってばぁ!ライちゃんもちゃんと弁明して頂戴!!」


 キャーキャー騒ぐ娼婦達に、マッドは徐々に顔を赤く染めていく。


「嘘では無いですよ。その後に連れ込み宿で、マッドさんを美味しく頂きましたけど」

「ちょっ……ライちゃん~?!!」

「恥ずかしがる事無いじゃないですか。ボクはとっても嬉しかったし。何よりマッドさんが可愛かったです」


 キャーと歓声を上げる娼婦達に、ライラは更に言い募る。


「マッドさんが手に入るなんて、夢のようです。絶対、誰にも譲りませんからね」


 ライラの言葉に、ふと、我に返った娼婦の一人が、心配そうに、マッドを見る。


「でも、マッドちゃん、ライ君は知ってるの?例の事……」


 こっそり耳打ちする娼婦に、マッドはああ、と頷き返す。


「その……一応自己申告して、ライちゃんのような格好良い男にあたしは相応しく無いって言ったんだけどぉ……」


 マッドの言葉に、ライラは何の会話か気付き、マッドに抱き付き、会話に割り込む。


「勿論教えて貰いましたよ。だからボクは、マッドさんがその屑連中を抱いた後は、絶対その時間よりも長く、濃密な時間をボクと過ごしてくれるなら、その仕事を続けても良いって言ったんだ。だって、ボクの想いはそんな屑連中に負ける程、薄っぺらくは無いし、軽い物でも無いからね。勿論、屑連中の相手をしなくても、ボクとの情事は今までの分も含めて、たっぷりと上書きするつもりだから、休日返上の覚悟で居てね?」


 ライラはニッコリと笑顔で周囲に話した後、後半は、マッドを見上げて言い切り、更に甘く微笑む。


「「「ライ君……男前!!」」」

「職場のお姉さん達には報告出来たし、次は、親しい人達ダンさん達にも報告しなくちゃね?勿論、ボクも連れて行ってくれるよね?」


 ライラは、真っ赤で潤んだ瞳の可愛いマッドに、トドめとばかりに、甘く言葉を投げ掛けた。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...