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後日談

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 マッドはライラを連れて、武器屋に来る。


親父おやっさん!値段を問わずに、店に置いてるレイピア全てと、ついになってるダガーも出してくれ!」

「マッドさん?!」

「武器なんて物は、値段を気にしちゃあ駄目なんだよ。値段をケチって合わなかったり、折れたりしたら、元も子もねぇからなぁ。自分に合った物は、長く使える。それは値段に比例しやしねぇ。安いのが合う奴も居れば、高いので合う奴も居る。ただ、値が張るにはそれなりの理由が有るからな。値段なんて気にせずに、自分の手に、しっくりと来る物を選ぶんだ」


 マッドにそこまで言わせて、やっぱり要らないなんて言える筈も無く、ライラは並んでいくレイピアを、一つ一つ手に取り、鞘から出して、重さや手に馴染む感覚を確かめ続ける。

 普段、普通の剣を扱っていた所為か、軽い剣と言うのは少々心許ないが、いつもの剣と違い、普通に持っていても、剣先が下がると言う事も無い。

 ただ、しっくり来る、と言った感覚が未だに判らないのと、華美な飾りに、思わず眉を寄せてしまう。

 店に有るレイピアの半数以上を確かめていた時、ふと、視界に入ったレイピアを持ってみる。

 それは、他の物に比べると、若干地味になるだろうが、ライラからすれば、シンプルで好ましい。

 柄を握れば、ライラの手に誂えたかのようなフィット感にライラ自身が内心驚く。

 剣を引き出してみると、明らかに他とは違う感覚が有る。


「マッドさん……ボク、これが良いです」


 ライラの言葉に、店の者も少し驚いた顔をするが、直ぐに他のレイピアを引き下げる。


「珍しいな。こらぁ、共通言語が違う領域の物だろう?」

「ええ、そうです。なので、少々値は張りますが、宜しいですか?」

「えっ!」


 やっぱり要らない、とライラが言い出す前に、マッドは頷く。


「ああ、構わねぇ。これを買う。次は、対のダガーだ」

「あのっ、マッドさん……」

「おいおい、なんて顔をしてやがる。ダンも言ってただろうが。それに武器は使うもんだ。倉庫の肥やしにしても意味がねぇ。こいつぁお前に使われる為だけに、遠くの海から渡って態々来たんだ。今更拒否ったら、こいつが泣くぞ?さぁ、次を持ってきてくれや」

「はい。今直ぐに」


 マッドの声に店の者も、急いで対のダガーを持ってくる。

「これも、一番しっくり来る物を選ぶんだぞ?武器は、命を預ける道具だ。これで、命が助かると思えば、安いもんだろ。違うか?」

「……有難う御座います」

「なら次も、ちゃんと選べよ?」

「はい!」


 そして、ライラはレイピアと同じように、一番手に馴染む物を探し出した。
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