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後日談

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 ライラが必死で身体を動かしていると、少し離れた場所から、マッドの声が聴こえる。


「ライちゃん、頑張ってぇ~!」


 そんなマッドの声援に、ライラが少し、動揺する。


うるせぇ!こいつの気ぃ散らさせんな!即、片が付いちまうだろうが!邪魔すんじゃねぇ!」

「ひっどぉっ!!ダンちゃんまであたしを邪魔者扱い?!マッド、泣いちゃうからぁ~!」

「どうせ、双子の邪魔して怒られたんだろ!なら、暫くその口閉じてろや!おら、お前もこっちに集中しろ!言っとくが俺ぁ、あいつと会話しながらでも、お前の剣ぐらいは避けられるぞ!」


 少々、カオスな状態になり掛けるも、そこはダンが、場を仕切る。


「双子が来たら、あいつ等の手合わせを、しっかと見とけ。それとマッド!双子に負けたら、強制的にこの俺が、ガッツリと、鍛え直ししてやらぁ!!」


 ライラと手合わせしながら、マッドに見せる、ダンの薄ら笑いに、マッドはゾッと背筋が冷える思いで口を閉ざした。

 それから直ぐに、双子がやって来て、双子がマッドに勝負を挑む。

 勿論その頃には、ライラは身体を動かせない程の、体力の限界まで来ていた。


「よし。んなもんにしとくか。最後の方の動きを忘れんな。あいつ等の手合わせ見んぞ。明日は絶対、筋肉痛を引き起こすだろうから、後でマッドにマッサージでもして貰え」

「えっ……」

「言っとくが、喩え中身が男だろうと、俺はシルビー以外の女には、極力触れる気はねぇからな。お前だって嫌だろが。だから、マッドで我慢しとけ。……あいつは意外と押しに弱いぞ?何せ、受け入れて貰えない辛さだけは、人一倍多いからな」

「……受け入れて、貰えるでしょうか……」

「それはお前次第だろうよ。ウチの公爵様なんざ、俺の主人リラ嬢ちゃんを手に入れる為なら、形振りなんぞ構ってなかったぞ。要は、そこまでして、お前がマッドを欲しがるかどうか、だ。お前にそこまでする勇気がねぇってんなら、マッドへの想い、今直ぐ捨てろ。俺ぁお前の気持ちより、マッドの方が大事なんでな。冷やかし程度の想いなら、きっぱりと諦めて、他ぁ当たれ」


 マッドが、双子と手合わせしてるのを良い事に、ダンは、ライラと地べたに座り込んで並び、目でマッドと双子を追いながら、小声で会話を続ける。


「ボクは……諦めたくありません」

「良いのか?それで。あいつの見た目は、お前の中身と同じ、男だぞ?」

「マッドさんの心が手に入るなら、そんな些末な事、気にしません。ボクが欲しいのは、マッドさんの心ですから」

「あいつが他の男と寝ててもか?」

「相手がマッドさんと、相思相愛だとしても……勿論嫌ですけど、ボクならマッドさんを親にする事が出来ますよと、口説きます」

「なぁる程?良いなお前。その殺し文句は最高だわ」


 ダンはライラの背をバシッと叩けば、ライラは涙目でダンを睨み上げる。

 そのダンはと言うと、ご機嫌な笑みを浮かべていた。


「あいつはまだ、誰の物でもねぇよ。その身体を使ってでも、確りと口説き落としな」
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