氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 五日後、マッドは約束の場所に向かうと、コランが既に着いていた。


わりぃなコランさん、待たせたか?」


 マッドは基本、時間前に着くようにしているので、今回も時間前には来ているのだが、コランもその口なのだろう。

 客商売だから、時間厳守は勿論、時間前行動が身に付いているようだ。


「いえ、それ程でも有りません!」


 コランの格好は、さすが仕立て屋だと思えるような、よく似合う衣装を纏っていた。


「あの、忘れない内に、これを受け取って頂けませんか?奢りは嫌だと仰られたので、私に出来る最大のお礼として、マッドさんに似合うだろう、シャツを作ったのですが!!」

 紙袋をマッドに差し出し、頭を下げるコラン。


「あの時は、本当に有難う御座いました!貴方がいて下さらなければ、きっと、あの貴族令嬢にお叱りを受けただけで無く、店に多大なる損害が出る恐れも有りましたので、本当に助かりました。これは当店のお礼として、店主からも許可を頂き作った物です!是非、お受け取り下さい!」

「あっ……有難う?いや、そんなに気を使わなくても良いぞ?たまたま見るに見かねて、口出ししたに過ぎねぇんだからなぁ。でも、まぁ、有り難く貰っとくわ」


 店の店主からの許可まで貰い、態々作った物をいらないと突っ返す程、マッドは冷たくない。

 何せマッド用。

 貴族が買いに来るような店で、マッドのような体格の者は殆どいないだろう。

 となれば、マッドが受け取らなければ、態々作ったと言うのに、このシャツは廃棄処分になってしまう。

 さすがにそれは可哀想過ぎるとマッドが受け取れば、コランはホッとした笑顔を見せる。


「あの……出来れば次回にでも、着心地とか、色々と感想を頂ければ嬉しいのですが!」

「おう、良いぞ、それぐらい」

「有難う御座います!」


 ちゃっかりマッドとの次回の約束を取り付けるコランの内心は、喜びで溢れてる。

 マッドはそんなコランを見て、仕事熱心だなぁと思っている。

 今まで他者に恋情を抱かれた事の無いマッドは、嬉しそうに微笑まれても、仕事が好きで堪らないのだろうと思ってしまうのだ。

 今までがそうであり、大昔にも親しくなった男相手に茶化しながら『あらぁ、そんなにあたしの事が好きなのぉ?』と聞いた事も何度か有るが、皆が皆、全員仕事に決まってるだろう!と、ある者は笑いながら、ある者はドン引きしながら返して来たのだ。

 さすがのドン引きに傷付いたマッドは、ダンに愚痴ったものの、それ以降、そんな言葉を言う気にはなれない。

(好青年だけど、ちょっと眩しすぎるわぁ~)

 マッドは内心溜め息を吐いた。
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