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後日談

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「ダンちゃんが得意な、手合わせよぉ!出来れば使える得物とかも増やしてあげたいんだけど、あたしはそういうのの適性って今一判んないから、適性を見極めるのが得意なダンちゃんにお願いしたいなぁって♪次からここにも連れて来て良いかしらぁ?」

「待て待て。ここに連れて来ても、大丈夫な奴なのか?そのライとか言う奴の、身元調査ぐらい出来てんだろうなぁ?さすがにどこの誰で、今まで何してたのかぐらい調べてねぇと、公爵家に出入りさせられんぞ?」

「あー……そうねぇ。分かる事と言えば、ライちゃんの名前はライラって事と、元子爵家の令嬢って事ぐらいかしら?」


 マッドの言葉にリラが少し首を傾げ、口を挟む。


「子爵家の令嬢で、ライラと言う名前でしたら……多分、ライラ=ムスター子爵令嬢ではないかしら?ムスター子爵は病死なさって、後継ぎもいないので、爵位を返還したいとの申し出が出ていた筈です」

「あら、さすがリラちゃん!名前だけで判っちゃうのねぇ」

「ライラと言う子爵令嬢は、一人しか居なかっただけですわ。同じ名前の令嬢がいれば、どちらかなんて分からなかったもの」


 それでも居るだけ名前が上げられるのだから、充分凄いとしか言いようが無いのだが、リラは相変わらずそれが凄い事だと思っていないようだ。


「ムスター子爵ですか。毒にも薬にもならない家ですね」


 サイナスがサラッと告げる。


「あらぁ、サイナスちゃんも家名で内情が分かるのねぇ、さすがはエヴァンス家の執事になっただけあるわぁ~♪」

「確か、その病死した父親が事業に失敗したので、家も売る羽目になったとか……。そもそも知識の無い者が事業に手を出した所で、成功する確率は低いのに、甘い言葉を鵜呑みにする方もする方ですよ。確か奥方は、令嬢が産まれた後に、産後の肥立ちが悪く、亡くなられた筈。せめて、普通に武官や文官として働いていれば良いものを、子供に借金を残すなんて、馬鹿親のする事ですよ」

「じゃあ、ライちゃんは今も?」

「いえ、幸い大きな借金では無い筈なので、家を売れば何とかなったと思いますよ。ですが、今まで貴族として過ごしていたのに、常識も何も違う平民になるのは、相当の勇気がいったでしょうね」

「そうねぇ。あたしも、もうちょっと注意はして置くわぁ。でもライちゃん、貴族生活は向いてなかったっぽいのよぉ。窮屈なドレスを身に付けなくて済むし、ズボンでも文句を言われる事が無くて嬉しいって言ってたからぁ」

「まぁ、男として生きたかったなら当然だろうよ。で、ここに連れて来ても大丈夫なんだな?」

「そうですね、一応調査はさせます。騙りとかは困りますから。まぁ、平民のマッドさんに騙る理由は無いでしょうが、私達は、念には念を入れる方なので、そこはご了承下さいね」
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