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後日談

レベッカの打算 1

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「レベッカさん、その、良ければ私とお付き合いして頂けませんか?」


 レベッカは、キョトンとして言い返す。


「はぁ……。あの、どこにですか?」

「……いえ、そちらの付き合うでは無く、男女のお付き合い、です。……済みません、急過ぎましたよね……。ですが、その……最近レベッカさんに、縁談の話がよく舞い込んで来るようになったと、他の女性達からお聞きしたので」


 リラとエドワルドが結婚してからと言う物、公爵夫人であるリラの専属侍女が未婚だと調べたのだろう。

 他家の使用人達が、クルルフォーン家との繋がり欲しさに、レベッカとの縁談話を持ち込んで来ていたのだ。

 それはもう、げんなりする程迷惑なぐらいに。


「えっと……もしかして、公爵様から頼まれました?」


 自分がそれ程他者に好かれる性格では無い、と思っているレベッカは、彼がエドワルドに頼まれたのだろうかと思った。

 エドワルドは、レベッカがリラの専属侍女を辞める気が無い事を理解してくれてるし、結婚するなら今の仕事が続けられて、クルルフォーン家に迷惑の掛からない相手と決めていたからだ。


「違います。エドワルド様から頼まれた訳では有りません。私の意思です。レベッカさんが若奥様をとても大切に想っている事も、見ていて知ってますし、エドワルド様に辛辣な所も見てました。私は最初からレベッカさんが気になっていたので、エドワルド様に好意を寄せないレベッカさんを見て、ホッとしてたんです。結婚とかはまだ考えなくても良いので、お試しでも虫除けでも構いませんから、私とお付き合いして頂けませんか?」


 レベッカは、彼に想いを寄せられてるとは全く気付いて無かったが、彼の事をその場で考えてみる。

 クルルフォーン家の使用人で、御者と言う職業柄、共に行動する事も多く、性格は温厚で気心が知れてる。年はエドワルドとあまり変わらないだろうけど、気になる程の差では無い。何より、レベッカがリラを大切にしている事も理解してくれているのだ、結婚したら仕事は辞めろと言うタイプでもないだろう。

 そこまで考えて、彼が自分にとって、かなり良い条件の相手で有る事に気付く。

(ヨルドさんを、好きか嫌いかで言えば、断然好きな方だし、馬や動物を相手にしてる時のヨルドさんって、本当に動物が好きなんだなぁと、こっちまで癒されるのよね。どちらかと言えばヨルドさんは好条件だし、出来るなら逃がしたくないなぁ……)


「ヨルドさん、条件付けても良いですか?」

「ええ、どうぞ」

「じゃあ、どうせなら、あたしと結婚して下さい。ただし、あたしは今の仕事が、とても気に入ってるので、子供が出来ても辞めません。リラ様中心の結婚生活になると思いますが、それでもいいですか?」


 レベッカはさらりと言い切った。
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