氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

後日談

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「ランちゃんは先ず、狼狽えたり、表情に出したりしない事ね。夜会だって一緒の事よ。取り敢えず今日はあたしがサイナスちゃんのパートナーをやってあげるけど、あたしのはあくまで参考にしかならないんだから。サイナスちゃんが同じように行動しても、他の人が同じ行動取るなんて有り得ない事なのよ？」


　そう言って、マッドはサイナスと腕を組んで会場入りをする。すると、早速サイナスは友人に呼ばれ、片手袋に。


「こういう時は、笑顔で行ってらっしゃい♪と手を振るのよ。喩え、他の男に乗り換えてやろうかしらとか、慣れない女を一人で放置するなんて、最低だの、屑だの思ってても、それを悟られないように笑顔で隠すのよ。そんな男に頼っても、頼りになんて絶対にならないから、見限りを付けても良いけれど、取り敢えずは候補者選びね。と言っても、軽い男は捨てられる可能性も有るから、一夜のお誘いを仕掛けて来る男なんて論外よ。ここは何日も掛けて、じっくり探せば良いから、それに関してサイナスちゃんは、キープ程度に思っとけば良いのよぅ」

「酷っ!!」


　思わずランドールが言葉に出すも、マッドもサイナスも、手をパタパタ横に振る。


「そう思わせる男が悪いのよぉ？」

「親しき中にも礼儀有り。直ぐに戻ってくるとすら言わないような男なんて、碌でも無いし、相手が恋人だの婚約者だのって事に甘えて蔑ろにして良い理由にはならない。相手が母親や姉妹関係なら未だしも、相手は所詮赤の他人。結婚したって離縁すれば関係性は無くなるだろ。貴族なんて政略婚が多いから、良い物件が見付かれば、そっちに乗り換えた方が良いって考えの者が多いんだよ。多少の情より利益優先。男は理想的だから情を優先したがるけど、女性は現実的だから、余程の情がないと、金の無い男なんて眼中に無いよ」

「女からすれば、結婚で生活習慣とかを変えたくないし、子供が出来たら、その子も育てなきゃならないのよぅ？お金は有って然しかるべきよぉ。でも、自分を蔑ろにする男になんて情は湧かないから、それならも～っとお金を持ってる人や、自分を大事にしてくれる人を探した方が賢明じゃあなぁい？と言っても、見付かる保証は無いから、サイナスちゃんをキープしておくのよ」

「特殊な考えを持つ一部を除いてだけど、女性は大事にすればする程、その分、情を抱いてくれるから、大事にしてるかどうかで対応も変わって来るんだよ。言わなくても分かるだろうなんて、男の勝手な思い込みだよ。恋人だろうと妻だろうと、所詮は赤の他人で、自分自身じゃないんだから、言わなけりゃ通じなくて当然ぐらいに思わなきゃ。関係性に甘えて蔑ろにしてたら、いつか痛い目見るぞ」


　ランドールは、マッドとサイナスに言われ、女性は蔑ろにしてはいけないと言う事を、脳裏にきっちりと刻み込んだ。