上 下
428 / 805
後日談

20

しおりを挟む
 結局その後、ランドールは男性使用人にも隙を見せてセクハラされた上で失態を晒し、侍女にまたもや嵌められ、連携をされ、失態の繰り返し。遂には時間内に10ポイントを取られてしまう。

 ガックリと座り込むランドールに追い討ちを掛けるサイナス。


「お~い、夜会の時間はまだ終わってないぞ~。最後の最後までやらなきゃ、勉強にならないだろう。言っとくが、10ポイント取ったから終わり~なんて思考の奴等は居ないぞ?寧ろまだまだポイント稼ぐ気満々だ。それともお前は敵前逃亡でもする気か?夜会なんて物は、貴族にとっちゃ戦場と同じ物だぞ?魑魅魍魎の蔓延る魔窟って評する奴も多いからな」


 サイナスの声で顔を上げれば、使用人達はさっさと立てと言いたげだ。

 ランドールはもうこれ以上の失態を晒してなる物かと、必死に頑張るが、結局その後、2ポイント程取られて夜会終了時間となる。


「容赦無い……」

「有ったら勉強にならないよ。因みに使用人達の場合は初心者向けの分かり易い物だし、お前は気付かずにスルーしてる相手も何人か居るから、後で反省会を含めての答え合わせもするからね」

「気付かずにスルー?」

「例えば、一番最初に話し掛けて来た子息役がダンスに誘って来てたけど、あれ、一夜の相手として誘われてたのに気付いて無いだろ」

「……え……えっ?えぇえぇ~~~?!!」

「そう言う事を含めての答え合わせだから。因みに今日のお茶会も夜会も全部、一言一句間違え無いように数名が速記で記録取ってるから。グラントに清書させれば問題無く資料として使えるからね」


 随分と落ち込んだ様子のランドールに、余程夜会を満喫したのかウキウキ気分のマッドが近付いて来る。


「サイナスちゃ~ん、これから毎日続けるのよねぇ?あたし達、今の所王都に戻るまで暇だし、毎日参加しても良いかしらぁ~?」

「勿論ですよマッドさん。ああ、それと、マッドさんには序でにこの後の反省会にも、ご協力下さいませんか?ウチのやり方を、ある程度知っているマッドさんに、女性としての価値観が参考になると思いますので協力して頂けると嬉しいのですが」

「もぉっちろんよぉ~♪あたしで良ければいくらでも協力するわぁ!」

「有難う御座います。不快な想いをさせるような男ですが、マッドさんのような広い心の持ち主で無いと、務まりそうに有りませんので。時間的にも他の侍女達に相手をさせる訳にもいかなくなりますし、本当に助かります」

「あらぁ~?あたしなら襲われても良いって言いたい訳かしらぁ?」

「いえ、彼がマッドさんを襲おうとしたら、襲い返して結構ですよ。ウチの侍女達でも、襲われたら返り討ちにする腕を、ある程度は持ち合わせていますので。ただ、ウチの侍女達は明日の早朝から仕事が入っていたり、相手が居る者もいるので、これと言って無い、と解っていても、不安を覚える相手もいるでしょうから、そう言った不安も取り除ければと思いましたので」


 笑顔で言い切るサイナスを見て、マッドは満面の笑みを浮かべた。


「ウフフッ♪サイナスちゃんは、さすがエヴァンス家の執事ねぇ♪ちょっとランちゃん、ちゃんとした執事になりたいのなら、サイナスちゃんを見習いなさいよ?顔や態度に出すなんて三流だし、公爵家の執事なんて名乗れないからね?」
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

継母の品格 〜 行き遅れ令嬢は、辺境伯と愛娘に溺愛される 〜

出口もぐら
恋愛
【短編】巷で流行りの婚約破棄。  令嬢リリーも例外ではなかった。家柄、剣と共に生きる彼女は「女性らしさ」に欠けるという理由から、婚約破棄を突き付けられる。  彼女の手は研鑽の証でもある、肉刺や擦り傷がある。それを隠すため、いつもレースの手袋をしている。別にそれを恥じたこともなければ、婚約破棄を悲しむほど脆弱ではない。 「行き遅れた令嬢」こればかりはどうしようもない、と諦めていた。  しかし、そこへ辺境伯から婚約の申し出が――。その辺境伯には娘がいた。 「分かりましたわ!これは契約結婚!この小さなお姫様を私にお守りするようにと仰せですのね」  少しばかり天然、快活令嬢の継母ライフ。 ■この作品は「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】お姉様の婚約者

七瀬菜々
恋愛
 姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。  残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。    サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。  誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。  けれど私の心は晴れやかだった。  だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。  ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...