氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

後日談

エヴァンス領の訪問と、ランドールの再教育 1

　社交シーズンが終わりに近付き、エヴァンス領へと訪問する日も決まった頃。

　相変わらずエドワルドは、リラとの激甘新婚生活を送っているのだが、ランドールはと言うと、サイナスの言う他の職種の最低限を、覚えた方が良いとされる、見習いの最初の行程を書類で覚えさせられて、その行程を一から実地体験させられていた。

　最低限とは言え、道具の名前や使い方等も覚える事が山積みで、慣れない仕事は筋肉痛を起こす事も有る。

　その為少しげっそりしてきているが、サイナスは、最初の行程所か職人の元で、見習い期間終了までさせられてるんだから、お前と比べたら、大人と子供の差ぐらいは有るぞとエヴァンス家の使用人達に言われる為、出来ないなんて言い出す事も、執事のする事では無いと言う事も出来ず、ただ只管覚えていくだけだった。

　それでも、サイナスは教え方も上手いので、ランドールは頭から湯気でも出すのではと言う程詰め込まれてはいるものの、少しずつだがきちんと物にしているようだ。

　まぁ、それでも、サイナスとは大人と子供の差だと言われる程だが、元は大人と赤子になるだろうから、成長はしているだろう。

　ただし、エヴァンス領に行けば、女装をさせられたり、茶会や夜会の真似事再現で、質たちの悪い男や女に絡まれる、と言う体験までもさせられるだなんて、思ってもいないだろうが、その辺はエヴァンス領の本宅に着いてから、エドワルドのサプライズ結婚式が終わった後に知る羽目になるだろう。


「本当はこちらの邸宅を、長く空けていたくはないのですが、この前のクルルフォーン領に行っていた時と同じく、エヴァンス家の執事が時折様子を見に来て下さるそうですし、クルルフォーン家の元からの使用人で、今の仕事で同職の者達と意見交換したり、興味の有る仕事を体験したいと思う者達は、申し出て下さい。特技が増えれば、給金も加算するよう、エドワルド様と掛け合い、了承を得ています。ただし、長旅になりますし、今後もこう言った機会が有るので、人数は制限し、多い場合は籤引くじびき等で決めさせて頂きますが、これも仕事だと理解した上で、行きたい者や質問の有る者達は、明日までに私に声を掛けて下さいね」


　サイナスがそう言えば、興味を持った者達は直ぐにサイナスへと質問しに行き、その中の数人が同行者となった。

　そうして、エヴァンス家の使用人達とクルルフォーン家の使用人達とでエヴァンス領へと向かう事になり、王都の使用人達は最低限の人数と、マッドの知り合いの傭兵達を少しだけ雇う事にした。