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後日談

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 リラが結婚して、リリーもジルギリスと共にドレファンへ向かった為、エヴァンス家はかなり静かになったが、リラに関しては、クルルフォーン邸で、ローテーションを組んで入っている侍女や他の使用人達が、リラの観察日誌を週一回の割合でエヴァンス家に届けてくれる為、ジーンにとってはそれ程寂しいと言う感情は湧かなかった。

 勿論家にいない事に多少の寂しさが無い訳では無いが、エヴァンス領とは違い、会おうと思えば直ぐに会える距離にいるし、エドワルドはクルルフォーン領に向かうとしても、年に一~二回程度で、王弟の凄腕政務官だから、王都にいる事が殆どだ。

 エドワルドがリラを一人領地に残す可能性は、あの溺愛っぷりからして皆無だし、王都のクルルフォーン邸ならば、直ぐに駆け付ける事も出来る。

 まぁ、あの日誌を見る限り、寝室に籠る事が多いようだが、幸せそうだし、エドワルドならば、やるだろうなと思える行動だったので、問題無い。

 貴族の中には、妻との情事を男の使用人の前でも構わず、服を脱がせてする男や、態と行為を見せ付ける為にする男、前者と後者の違いは、前者の場合使用人を一人の人間では無く風景や家具と同等にしか思ってない者で、後者の場合は妻や見てる者の反応を見て、楽しんだり、妻の裸体は見せてやるが、お前に手出しは出来ないぞと言う自慢をしたいと言った者達だが、少数派とは言え存在するから、使用人側からすれば、堪った物では無いのだ。

 まぁ、中にはそれを喜ぶ使用人もいるそうだが、それも少数派に入るだろう。

 王宮育ちのエドワルドは、使用人達を風景や道具の一部扱いにしてもおかしくない環境で育っているが、ディーランの王族は平民と言えど、人は人と教えているのでそういう国には当て嵌まらないから、リラと男の使用人の前で、多少イチャつく事は有っても、人前での行為を強要している事は無いから、エヴァンス家の使用人達も、二人は新婚だからで通してるようだ。

 リラが本気で嫌がれば、サイナスにしろ、ダンにしろが止めに入るだろうし、ジーンは全く心配はしていない。

 それを心配するなら、リラの可愛さを漸く知った貴族の節穴連中が、リラに何かをして来ようとしないかの方が、余程心配だ。

 結婚式で、あれだけの釘をさされているが、リラの可愛さは尋常じゃないからとジーンは思ってる為、警戒は緩めない。

 家の存続が確実に潰えると分かっていても、自分だけは大丈夫だと、根拠の無い自信を持つ馬鹿がいないとは限らないのだ。

 だからこそジーンは、リラに対するシスコンをバラし、エヴァンス家も確実に敵に回ると知らしめたのだ。
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