氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
391 / 805
本編

339

しおりを挟む
 エドワルドのザル具合を知らないリラは、披露宴で、エドワルドに次々と注がれる祝杯を見て心配になり、エドワルドを止めた。


「のっ……飲み過ぎは、身体に毒です!わたくし、エドワルド様とは年を召しても一緒にいたいので、これ以上は飲まないで下さいまし!!そっ……それにっ、そのっ……わたくしだって初めての夜ですもの……酔われて放置されるのは嫌です……」


 王宮に着いて即、レベッカがリラのメイクをパパッと直してくれたが、花嫁衣装のままで、メイクも整い、美しさも可愛さも増すばかりのリラが、可愛過ぎる言葉を放ち、そのままシュンとするのを見て、ザルだから何とも無いとは言えず、内心大いに悶えながら、リラの言葉を聞き入れる。


「分かったよリラ。そういう事だから、もう、私の杯に酒は要らない。入れられても飲まないから、そのつもりで。やっと手に入った可愛い新妻を、これ以上心配させたくはないからね」

「ほっ……本当ですか?そのっ、嬉しいですっ!!有難う御座います旦那様!」


 心底嬉しそうに微笑むリラを見て、何であれが自分のじゃないんだと、内心大いに嘆く貴族達。

 とはいえ、自業自得と言う事も嫌と言う程理解しているので、エドワルドが羨ましくて仕方無い。

 何であの毒華が、ただのコミュ障だって気付けたんだ?!ズルい!!ズル過ぎる!!!と嘆いた所で手遅れだ。既にリラはエドワルドの物なのだから。

 そうして、リラを見下していた貴族連中にとっては散々な、披露宴と言う名の見せびらかしが終わり、重い身体と頭を引き摺るように解散する。

 漸く披露宴が終わり、長かった式典を終えて、エドワルドは妻となったばかりのリラと共に、日の暮れたクルルフォーン家に帰宅する。

 披露宴の時に、リラの花嫁道具や荷物がクルルフォーン邸に届き、侍女達はテキパキとサイナスの指示に従い、荷物を運び込まれ、リラとエドワルドの帰宅に合わせて、皆から祝福の言葉と大きな花束を貰う。


「ご結婚おめでとう御座います、若旦那様、若奥様。若奥様のお荷物は、全て運び入れております。お食事も出来ておりますので、お着替えをなさってゆっくりとお召し上がり下さい」

「「有難う」」


 そう言って、リラは別室でドレスを着替え、晩餐の席に着き、食事を終えると侍女達に浴室へと連れ込まれる。

 綺麗に磨き込まれ、見せられた新妻用の寝間着と下着に本当にこれを着るのですか?!と全身を真っ赤に染めながらもその中で一番無難そうな物を選び、せめてガウンは下さいと侍女達に頼み込み、漸く寝室に来る事が出来た。

 その後にエドワルドは浴室に一人で入り、用意された寝間着と、害の無い避妊薬を持って寝室に現れれば、顔を真っ赤にしたまま部屋の中でウロウロする可愛い新妻を見付け、近寄り抱き締めてベッドの方へと誘導した。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...