氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

323 (レベッカ視点 5)

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「レベッカ、もうその辺でいいわ、有難う。お聞きの通り、この娘は、貴方にあんな態度を取られる理由は一つも有りません。レベッカに限らず、他の侍女達でもそうです。貴方達が雇い入れた侍女達と一緒にしないで頂きたいですわ。ウチの侍女達は全員プロの意識を持ち、仕事に取り掛かっています。その中でもレベッカは、非常に高いスキルと多彩なスペックを持ち合わせており、リラお嬢様の専属でいるのです。貴方がどう思おうと貴方個人の問題ですが、それを態度に出す等、プロの意識が欠けています。因みに先程、貴方はレベッカを見て、何と思ったのですか?女性が乗馬なんて、はしたない?侍女服で乗る事自体が間違っている?それとも、前に乗っていた子供が馬を操っている、かしら?」

「……服装からして、前に乗っていた子供が馬を操っているのだと思っていました」


 カミユはランドールが思っていた事を少しの反応から探り、ランドールが白状する。


「エヴァンス家の侍女達は皆、普段着だろうと侍女服だろうと一人で乗る事が出来るよう訓練させています。勿論わたしも例外では有りません。それは、緊急時の際、皆が無事に逃げられるよう、敵の撹乱や、護衛の負担を減らす為でも有ります。レベッカは一人でも乗れますし、乗馬の腕は訓練を受けている男性並みです。前に乗っていた子供はまだ一人で乗るには不安定だから、レベッカが乗せていただけですわ。メイクの腕は、他の侍女が掛ける時間の半分以下で済ませますし、護衛としての護身術も身に付けています。リラお嬢様が学んだ全てを一緒に勉強し、修得している娘です。若いからと、侮られては困ります。この事は、公爵様からジェフさんにきちんと通達して頂きます。正式な処罰は公爵様とジェフさんに決めて頂きますが、貴方は今直ぐレベッカに謝りなさい。レベッカが許すか許さないかは別にして、貴方はきちんとレベッカに謝罪すべきです。貴方は、わたしが管轄する、エヴァンス家の・・・・・・・侍女を愚弄したのと同時に、この娘の並々ならぬ努力までもを馬鹿にしていたのですから」


 嫁いで来る未来の奥方の侍女を愚弄するのは、奥方の実家でもあるエヴァンス家を愚弄し、蔑んでいると捉えられても仕方無い行為だとカミユが仄めかす。

 何せこの縁談は王命だ。

 王命を軽んじているとさえ捉えられてしまうのだ。


「!!!そんなつもりはっっーー」

「この縁談は、王命ですよ?そんな侍女を差し向ければ、こちらが王命を軽んじているとでも受け取られ兼ねません。貴族に仕える身であるならば、少しのミスが命取りになると言う事を、その軽はずみな行動を取った頭に、よぉく叩き込んで置きなさい!!」


 カミユの一喝で、ランドールは頭を下げる。


「すっ……済みませんでしたっ!!」

「頭を下げる相手が違うでしょう?!わたしに謝る前に、先ずはレベッカに謝罪なさい!!」


 カミユはランドールに、姿勢が悪いだの、声が小さいだのと、何度も駄目出しし、やり直しの謝罪をさせ、レベッカはスッキリしたのだった。



*****

 ※因みにカミユが公爵様から通達~と言ってますが、エヴァンス家の緊急連絡手段を選びます。建前上エドワルドからと言う事にして、エヴァンス家が動いてる事を隠す為です。
 エドワルドは口裏合わせ要員~♪(笑)
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