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本編

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「リラ、会いたかったよ。少し前までは一日中一緒にいたから、会える時間が短くて、物凄く恋しくなる。でも、夜に会える事に関しては、ジェフに感謝をしないとね。ジェフのお陰で、王宮に泊まり込んで仕事をせずに済んでいるのだから。本当にジェフは優秀だな」


 出迎えてくれたリラを抱き締め、リラの柔らかさと匂いを堪能するエドワルド。


「エドワルド様に認めて貰えるなんて、さすがジェフお兄様ですね。……少し、羨ましいですわ」


 リラがそう呟くと、エドワルドが思わず笑ってしまう。


「笑うだなんて酷いです、エドワルド様!わたくし、これでも真剣なのに!!」


 リラはエドワルドが真剣に受け取ってくれていないのだとムッとして、エドワルドから離れようとするが、エドワルドは違う違うと手を振る。


「リラは、おかしな事を言う。私はリラの事も、ちゃんと認めているよ。私は認めてもいない相手に仕事の話はしないし、リラ以外の女性の前で、仕事の話をしようとは思わないからね。他の女性だと私の話を聞いた所で、話に付いていけないか、理解すらしていないだろう。そもそも、普通の貴族令嬢は、仕事内容を振られても、理解が出来ていない為、退屈だから、仕事の話をしないで欲しいと言い出すか、興味が有るように見せ掛けて頷くぐらいだよ。中には興味が有る振りをするからと話を振れば、自分の意見は言わずに誰かに話を振って、のらりくらりと避ける強者もいるが、突き詰めれば自分の意見は何も言えない女性達だ。私は自分の意見を言えるリラが好きだし、リラの意見を聞きたい。認めてもいない相手の意見なんて、どうでも良いからね」


 エドワルドの言葉に、最初はキョトンとし、普通の貴族令嬢と違うと言った内容にリラは不安に駆られるが、エドワルドにリラの意見を聞きたいし、認めてもいない相手の言葉等はどうでも良いと言われて、リラは嬉しくなる。

 エドワルドは常にリラの意見を聞いてくれていたからだ。

 嬉しくて、離そうとしていた身体を、再度エドワルドにくっ付けて、ギュウッとリラがしがみつく。


「わたくしも、エドワルド様に意見を聞いて貰えて嬉しいです!わたくしの意見なんて、取るに足らない物だと思っていたのに、エドワルド様は、いつでもわたくしの意見を聞いて下さるから、色々喋りたくなるのです!」

「……誰の意見なのかな?その取るに足らない物と言うのは」

「?社交界で壁の花をしている時に、たまに男性陣が仰っていますわよ?女性の言葉等、取るに足らないと。わたくしは、彼等から見えない位置にいましたので、わたくしに向かって言っている訳では無さそうでしたが、わたくしも一応女に入るので、一般的な男性の意見はそうなのでしょう?ですから、エドワルド様は相当変わっていらっしゃいますわ」


 女性が近くにいるかも知れない場所で、堂々とそんな話をする馬鹿共はどこのどいつだと、エドワルドは内心その馬鹿達を罵った。
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