氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 アンナの話を聞き、あんなお馬鹿に何故これ程のと思ったが、あれよりも酷い婚約者がいたのなら、あれでも妥協出来て当然だなと納得する。

 それに何より、あんなのが相手でも、アンナ自身が幸せそうなのだから、問題無いかとも思う。


「あら、もうこんな時間。キルロス様が、ヤキモキしていらっしゃるでしょうから、そろそろ帰りますわね♪」


 もう日暮れの時間になっていた為、アンナはそう言ってそそくさと帰っていく。


「とても強い女性だな。あの馬鹿には勿体無いぐらいだ。だが、ああいった女性にこそ、あの男を任せれば釣り合いが取れるのだろうな。ああいった女性は嫌いでは無い。ただし、私にはリラでないと意味が無いのだから、そこは理解して欲しいな」


 リラが可愛い嫉妬をしてくるので、後半はリラに向けて甘く囁くき、エドワルドの言葉を聞いたリラは、顔を赤く染めるも、嬉しそうに微笑む。


「キルロスは馬鹿なだけで、大した害にはならないんだよね。まぁ、リラに対して暴言を吐くから、始末したくなるんだけど、多分あれ、身内に対しての悪態だから、仕方無いかなぁって。本音を言えば、始末してやりたいと思う事もあるんですが、夫人を悲しませる事になってしまいますからね」


 残念そうに言うジーンの言葉に、エドワルドも頷く。


「今まで苦労をしてきた夫人を悲しませるのは、忍びないからな。今後リラに余計な事を吹き込まなければ良しとしよう」


 エドワルドからすれば、リラに余計な事を吹き込むキルロスは、ジーン同様始末したいのだが、あんな馬鹿でもアンナにとっては大切な男なのだ。

 今後リラに余計な事を吹き込まない限りは見逃そうと、エドワルドは思っている。

 暫く談話をしていれば、夕食の時間になり、食堂で食事を取ると、各自好きな時間を過ごす。

 雨の日は、ボードゲームやカードゲームで時間を過ごし、晴れの日や雨が降りそうに無い日は街や遠出をしたり、天気を問わずに図書館へ足を向けたりしていたら、王都へと帰還する日になり、エヴァンス家の祖父母に挨拶をして帰路に向かう。

 因みに、セイル家の二人はこってりとリリーに怒られたのだろう。見送りに顔を出すも大人しくしており、リラからも今度エドワルドに何かしようとしたら、お二人の事を恨みますからと言う釘差しをされて、解ったと必死で頷いていた。

 そうして、十日間を掛けてゆっくりと王都に戻る途中、ならず者に二度程襲われるも、ダンやマッド、双子達に蹴散らされて何事も無く王都に辿り着いた。
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