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本編

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 夕食の時間になり、リラ達は食堂に集まり、リラは街での様子や出来事を話す。

 当然初っ端の、茶葉を取り扱ってるお店の話もすると、ジオラルドが、そこの店主が詫びと報告に来たと言う。

 取り敢えず、リラが話を一通り喋ってから、その店の顛末をジオラルドに教えて貰った。


「リラの相手が王弟公爵だと知り、顔を真っ青にしたまま帰って行ったよ。まぁ、僕もお祖父様も、少しは厳しく言ったけど、本来なら、処刑されてもおかしくない事だからね」

「エドワルド殿にその気が無いとは言え、息子には貴族を敵に回すことがどういう事なのか、よくよく確りと言い聞かせて置けと言って置いた。大した処罰にはなりませんが、二度と会う事も無いだろうから、それで許して頂けますか?」

「私は元より、エヴァンス家の方々と相手の店主にお任せするつもりでいましたので、異論は有りません。私は王弟でも公爵でも無く、ただ、リラ嬢を想い、彼女と愛し合う一人の男として来ているのですから」


 エドワルドは後半の言葉を、リラに視線を向けて口にすると、目が合ったリラは徐々に顔を赤く染めて、嬉しそうに微笑んでいる。

(かっ……可愛過ぎる!!少し前まであんな濃厚な時間を過ごしたと言うのに、しかも、一度や二度では無いと言うのに、言葉だけで、未だにこれ程可愛い反応を示すリラが可愛くて愛おしい!!後、一ヶ月半我慢すれば、あの可愛い生き物を存分に愛でられる!!もう少し、もう少しの辛抱だ!!!)

 食後、サロンへと移り、ジオラルドがエドワルドに酒を飲めるか確認し、グラスを渡す。

 リラもジオラルドに勧められて貰い、その後、上機嫌で喋り出すと、エドワルドに抱き付き離れない。


「リラは、エドワルド様が大好きですぅ~♪ず~っと一緒にいて下さいねぇ♪」


 酔っ払ったリラの可愛さに悩殺されながらも、何とか最強呪文で耐え忍び、眠くなってきたリラに抱っこをせがまれ、理性と欲望がせめぎ合う中、何とかリラを寝室のベッドに降ろしてお休みのキスだけを残し、サロンに戻って来ると、ジオラルドが、エヴァンス領の結婚式の話をしようと切り出した。

 どうやらその為にリラにも酒を勧めたようだが、エドワルドとしては、襲わせたいのかと思う所業だ。


「リラは酔って眠ると、大抵朝まで目覚めない事が多いから、リラへのサプライズ計画には打って付けなんだよ。今日の内にある程度決めてしまえば、バレる事も少ないだろうから、大まかな事は早く決めてしまおう」


 ジーンが申し訳なさそうな顔でエドワルドに説明した。
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