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本編

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 店を出る時に店主を呼んで貰い、店主に心配りのお礼と、とても美味しかった事を伝えて店を出る。

 そして街を巡り、雑貨屋を中心に色々な店を見て回るが、お揃いで、いつでも持ち歩ける物となると、中々ピンと来る物に巡り合えない。

(出来れば、実用性の有る物で、いつも持ち歩けて、お揃いで使える物が良いのですが……)

 そんな事を思いながらもあちこちの店を見て回っていると、リラの視界にある物が飛び込んで来た。

 リラはそれを見付けると、エドワルドに声を掛け、指で指し示す。


「エドワルド様、あれなんてどうでしょうか?!」


 エドワルドはリラの指し示す方を見て、それに目を止め笑みを浮かべる。

 リラが指し示した物は、同じデザインをした、ペアの万年筆だった。


「ああ、良いね。あれなら仕事でも使えるし、いつも持ち歩く事が出来る。デザインも良いし、あれにしようか」

「はい!あれが良いです!」

 エドワルドはリラにそう言うと、リラはキラキラした笑顔で、エドワルドの言葉に頷き、二人で店の中へと向かいお目当ての万年筆を買い求める。

 そうして買い求めた万年筆を二人で交換し合い、二人で微笑み合って店を出る。

 時間も昼を少し過ぎた頃なので、どこかで昼食を取ろうと、女性だけでも気軽に入れる食堂のような店に入る。


「ここは、自警団の人達も立ち寄る場所なので、わたくしもダンや兄様と一緒に来る事が有りますわ」

「私はこういった場所での食事は初めてだな。いつもは職場か家でしか食事はしないし、宿で食事をする事は有るが、大抵部屋で食事を取る事にしているから」


 そんな会話をしながら食事を進め、次の場所へと足を向ける。


「ここは、本を取り扱うお店で、装丁や修繕等も頼めます。複写も出来て、隣で本も売り買いしておりますわ」


 本屋に入れば、思っていた以上に充実したラインナップにエドワルドは驚く。

 一通り本を見て、数冊の本を手に取る。


「お買い上げになられるのでしたら、後でエヴァンス侯爵様のお屋敷にまで、お届けさせて頂きますよ」


 店主にそう言われ、エドワルドは幾つか買い求め、リラにも声を掛ける。


「リラ、欲しい物が有れば一緒に買うし、幾つだろうと構わないから、持って来なさい。クルルフォーン家に持って帰れば、結婚後はいつでも読めるよ」

「よっ、宜しいのですか?」

「ああ、勿論。何ならリラ専用の本棚でも注文して置くよ」

「……専用は要りません。ですが、エドワルド様と共有の本棚は欲しいです!」


 リラの言葉にエドワルドは破顔して、快く了承した。
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