352 / 805
本編
300
しおりを挟む
「リラ、街に着いてからよく喋っているけれど、喉は渇いていない?どこかの飲食店に入ろうか」
茶葉を売っている店を出て直ぐに、エドワルドはリラに声を掛けると、リラは少し落ち込んでいるのだろうか。
声のトーンが若干低くなっていた。
「あのっ……。エドワルド様は、お喋りな女は、嫌い、ですか?」
「?まぁ、嫌いな方かな……」
お喋りな女と聞いて、王宮や夜会で言い寄ってきた、甲高い声で煩く騒がしい女達を思い浮かべてしまい、思わず眉間に皺が寄ると、リラからどんよりとした空気が漂うので、エドワルドはリラに誤解が無いよう訂正する為、リラの名を呼ぶ。
「リラ」
勿論、甘く優しい声でリラを呼び、エドワルドの声で顔を上げ、上目遣いになるリラの瞳を見ながら、優しく微笑むエドワルド。
「誤解無きよう言って置くけれど、リラの場合は入らないよ。今まで不快にさせられた他の女性達を思い浮かべてしまうから、そこはリラと限定して置いて欲しいな。私はリラの声も大好きだから、リラが沢山喋ってくれるのは嬉しいよ」
エドワルドの言葉にリラは安堵して、エドワルドの大好きだと言う言葉に頬をほんのり赤く染めながら、先程の店の事を謝り出す。
「先程は見苦しい姿を晒してしまい、申し訳ありませんでした」
「リラが謝る事では無いよ。そもそも、あれは店員の態度が悪過ぎるのだから。客に対してあのような態度を取る事の方が間違いだ。相手が貴族と解っているなら、尚更質が悪い」
エドワルドにそんな気は更々無いが、幾ら自領の領民とは言え、家位の高い家格に身柄を差し出せと言われたならば、余程の事情が無い限り、差し出すのが通常だし、家位が同等であれ下位であれ、自領の領民が貴族に喧嘩を売るような態度であれば、領主が責任を持ってその者罰し、謝罪しろと言われても仕方が無いのだ。
お忍びで、相手にその気が無いからいいような物で、お忍びだろうと身分を明かせば、平民に太刀打ち出来る術等無い。
それを容認してしまえば、身分制度の意味が無いからだ。
エヴァンス領が如何に特殊とは言え、エヴァンス家が客として招いてる相手の身分を無視する事は出来ない。
エドワルドがエヴァンス領に、身分を捨てて永住する気なら未だしも、エヴァンス家の身内になる者として訪問しに来ているのだから、領民がエドワルドに喧嘩を売るような事をすると言う事は、エヴァンス家にも喧嘩を売っているような物なのだ。
彼はエヴァンス領と言う特殊な環境に慣れ過ぎて、貴族に喧嘩を売るとどうなるかと言う、根本的な事を忘れていたようだ。
エドワルドが問題にしなかったからこそ、余所で一からのやり直しと言う軽い物で済んだが、本来ならば、罪人扱いされててもおかしくは無い事なのだ。
下手をすれば、平民に馬鹿にされた貴族として、貴族間で噂になってもおかしくない事なのだから。
きっと彼は、エドワルドの身分を知った父親に、その事もきっちり叩き込まれ、自分の失態を大いに思い知るだろう。
「まぁ、私はリラの婚約者と言う身分だけでここに来させて貰っているから、後の事はジオラルド殿やジーン殿、そしてあの店主に任せて置くよ。だからリラも気にせずに忘れて、私達はデートの続きを楽しもう」
そう言ってエドワルドは、リラにお勧めの飲食店の案内を頼んだ。
茶葉を売っている店を出て直ぐに、エドワルドはリラに声を掛けると、リラは少し落ち込んでいるのだろうか。
声のトーンが若干低くなっていた。
「あのっ……。エドワルド様は、お喋りな女は、嫌い、ですか?」
「?まぁ、嫌いな方かな……」
お喋りな女と聞いて、王宮や夜会で言い寄ってきた、甲高い声で煩く騒がしい女達を思い浮かべてしまい、思わず眉間に皺が寄ると、リラからどんよりとした空気が漂うので、エドワルドはリラに誤解が無いよう訂正する為、リラの名を呼ぶ。
「リラ」
勿論、甘く優しい声でリラを呼び、エドワルドの声で顔を上げ、上目遣いになるリラの瞳を見ながら、優しく微笑むエドワルド。
「誤解無きよう言って置くけれど、リラの場合は入らないよ。今まで不快にさせられた他の女性達を思い浮かべてしまうから、そこはリラと限定して置いて欲しいな。私はリラの声も大好きだから、リラが沢山喋ってくれるのは嬉しいよ」
エドワルドの言葉にリラは安堵して、エドワルドの大好きだと言う言葉に頬をほんのり赤く染めながら、先程の店の事を謝り出す。
「先程は見苦しい姿を晒してしまい、申し訳ありませんでした」
「リラが謝る事では無いよ。そもそも、あれは店員の態度が悪過ぎるのだから。客に対してあのような態度を取る事の方が間違いだ。相手が貴族と解っているなら、尚更質が悪い」
エドワルドにそんな気は更々無いが、幾ら自領の領民とは言え、家位の高い家格に身柄を差し出せと言われたならば、余程の事情が無い限り、差し出すのが通常だし、家位が同等であれ下位であれ、自領の領民が貴族に喧嘩を売るような態度であれば、領主が責任を持ってその者罰し、謝罪しろと言われても仕方が無いのだ。
お忍びで、相手にその気が無いからいいような物で、お忍びだろうと身分を明かせば、平民に太刀打ち出来る術等無い。
それを容認してしまえば、身分制度の意味が無いからだ。
エヴァンス領が如何に特殊とは言え、エヴァンス家が客として招いてる相手の身分を無視する事は出来ない。
エドワルドがエヴァンス領に、身分を捨てて永住する気なら未だしも、エヴァンス家の身内になる者として訪問しに来ているのだから、領民がエドワルドに喧嘩を売るような事をすると言う事は、エヴァンス家にも喧嘩を売っているような物なのだ。
彼はエヴァンス領と言う特殊な環境に慣れ過ぎて、貴族に喧嘩を売るとどうなるかと言う、根本的な事を忘れていたようだ。
エドワルドが問題にしなかったからこそ、余所で一からのやり直しと言う軽い物で済んだが、本来ならば、罪人扱いされててもおかしくは無い事なのだ。
下手をすれば、平民に馬鹿にされた貴族として、貴族間で噂になってもおかしくない事なのだから。
きっと彼は、エドワルドの身分を知った父親に、その事もきっちり叩き込まれ、自分の失態を大いに思い知るだろう。
「まぁ、私はリラの婚約者と言う身分だけでここに来させて貰っているから、後の事はジオラルド殿やジーン殿、そしてあの店主に任せて置くよ。だからリラも気にせずに忘れて、私達はデートの続きを楽しもう」
そう言ってエドワルドは、リラにお勧めの飲食店の案内を頼んだ。
35
お気に入りに追加
9,266
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる