氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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「リラ!儂等が悪かった!!出て来ておくれ!」

「反省している!エドワルド殿には何もしないから、顔を出してくれ!」


 焦った声で扉の中に呼び掛けるデイルとデュラン。


「けっ、結婚前の娘が、婚約者とは言え、鍵の掛かった部屋に二人切りはいけないよ!」

「儂は婚前交渉は反対だ!!」


 リラは段々二人の言葉に、反省はどこに?と怒りが沸々と再燃する。


「……伯父様、お祖父様?反省がちっとも感じられませんが、わたくしを部屋から出したいだけなら、下に戻って下さいね?そもそも、鍵を掛けさせたのはどこのどなたですか?!エドワルド様に失礼な事ばかり言わないで下さい!!」


 リラの声が聴こえたのだろう。外の騒がしさが止んで、扉越しなのに、どんよりとした気配が漂っている。


「……あの二人はいつもあんな感じなのかな?」

「概ねあんな感じです!ですが今回は行き過ぎです!わたくしだって、何も分かっていない子供では有りませんし、エドワルド様以外と二人切りになる事なんて致しません!!エドワルド様は特別なのです!それなのに、嫌われたりしたら、お二人の所為ですからね?!」


(かっ……可愛過ぎるっ!!襲いたい襲いたい襲いたい!だが耐えろ!!後二ヶ月を切っているのだから!!!)

 エドワルドはリラを強く抱き締め何とか堪える。


「私がリラを嫌うなんて事は無いから、安心しなさい。私は外野にどうこう言われて私の意見を変えたりしないから。それに、あの二人が反対した所で、他のエヴァンス家の皆は私達の味方だし、私の兄も、義姉上もあの父上ですら味方だからね。あの二人が今更何と言おうと問題無いよ」

「それでも、好き勝手に言われるのは嫌です!わたくしがエドワルド様と結婚したいのに、伯父様もお祖父様も解っていらっしゃらないのです!!」


 泣きそうな顔で訴えてくるリラは可愛いが、こんな事で泣かせる訳にはいかない。

 エドワルドはリラの目許にキスをして、ギュッと抱き締め声を出す。


「デイル殿、デュラン殿、女性を泣かせるなんて、騎士として如何な物か思いますが?」

「「りりりりっ、リラが泣いているのか?!?」」


 その時、もう一人の声が聴こえてきた。


「お父様?お兄様?一体何を騒いでいらっしゃるのかしら?」


 その声は、明らかに普段聞く声では無く、ドレファンに怒りを向けていた時と同じく、怒気が混じっていた。

「「リリー!!」」

「孫や姪、甥までに叱られて、反省する事無く部屋まで押し掛けて、二人揃ってリラを泣かせるだなんて、何を考えているのですか?今日はもう、お帰り下さい」

「「いやっ、そのっ!」」

「お・か・え・り・下さい」

「「……はい」」


 二人は項垂れ、階下へと降りて行った。
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