氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「そう言えばこの前、ドレファンの同行者に子息がおられましたが、もう一人子息がいらっしゃいましたよね、そちらの子息はお元気ですか?」


 実は、ドレファン行きの近衛の中に、バルトの息子が混ざっていたのだ。

 ドレファン行きに同行したのは次男の方で、長男は現在ローズウッド領内にて領主代理をしていることだろう。


「元気にしているよ。今回私達が王都に来ているので、私達の代わりに領内を守ってくれているから心配は無い。そう言えば、下の息子がエヴァンス令嬢の手作りの菓子を頂き、とても美味しかったと言っていましたよ。出来れば直接お礼を申したかったと」

「駄目ですよ、バルト殿。そんな事をして、貴方の子息が彼女に恋心を抱いたらどうしてくれるんです?彼は確か独身でしたよね?私は貴方の子息と恋敵に等、なりたくはない。負ける気は有りませんが、敵は一人でも少ない方が良いですからね」

「まぁ、これ程魅力的な令嬢ならば、そうなってもおかしくはないですね」

「会わせるにしても私が立ち会わないと、好き勝手な噂を流す連中もいますからね。そうでなくとも最近の彼女に関する噂は、でたらめが多くて腹立たしい物が多いのです。真に受ける者もいるので止めさせたいのですが、噂と言う物は、躍起になって消そうとすれば、更に酷くなる時も有りますので、流している者達を特定し、噂を流す張本人のインパクトの強い情報を流して打ち消すか、悪事を取り締まるかぐらいしか出来ないのが歯痒いですね」


 それだけ出来れば充分なのだが、エドワルド的には納得がいかないようだ。


「わたくしは、親しい方々が噂に惑わされずに接して下さるだけで、充分ですわ。こうしてわたくしの事で、腹を立てて下さるエドワルド様もいらっしゃるので、それだけで充分嬉しいです」


 無表情を装いつつも、リラが本心を口にする。

 気を緩めると、どうしてもニヤけてしまいそうになるので、何とか堪えなければ!と、リラは思っているようだ。

(この後、シアお義姉様にも会うのだから、顔に出しては駄目よ、リラ。人払いされているなら未だしも、大勢の人前でみっともない顔をしては、シアお義姉様の迷惑になるもの!わたくしがシアお義姉様の恥になってはいけないわ!!恵まれた家族の為、わたくしを選んで下さるエドワルド様の為、不様な顔は晒しません!)

 未だ勘違いし続けているリラが、大勢の人前で微笑むのはいつになるやら。

 リラの思考を理解している家族達が、リラを生温い目で見ていたのだった。
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