氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「リラ、こちらに来て、良く見せて。他の誰にも見せずに、屋敷へと連れ帰りたいよ」

「……エドワルド様の方、が……?エドワルド様!その衣装を着て下さったのですか?!」


 リラがエドワルドの服を見て、目をキラキラさせる。

 リラが言う衣装とは、お披露目の夜会の時に、リラがエドワルドに贈った物だったからだ。


「ああ、私のお気に入りだからね。女性と違って、男の場合は気に入った服に何度も袖を通せるから、とても嬉しいよ」

「……もしかして、エドワルド君に、リラが衣装を贈ったのかい?」

「はい♪いつも沢山の贈り物を頂いているので、わたくしもエドワルド様に、何かを贈りたいと思いましたので」


 にこにこと笑顔で応じるリラは、服を贈る事の意味を知らないようだ。


「……何か、父親としては、物凄く複雑な心境なんだけど……。まぁ、今更言っても仕方が無いし、結婚する相手だからね、大目に見るか……」


 ジルギリスがブツブツ呟いているが、リラには何の事やら解らない。


「?どうなさったのかしら?お父様……」

「さぁ?そう言えば、義姉上が必ず顔を見せて欲しいと言っていたよ。本当はレオンの事を直接謝りたいそうだけれど、公には出来ないからね。リラが王宮が手薄になるからと、義姉上の身を案じてリラ付きの優秀な護衛や侍女達を一時的に派遣させた事になっているから、そのお礼と仲が良くなっている事を見せ付けるのだと言っていましたよ」


 エドワルドが服を異性に贈る事の意味をリラに教えず、話をすり替えアナスタシアの事を話す。


「シアお義姉様が?王太子様はまだ子供ですし、わたくしは気にしていませんよ?さすがにあの書簡を他の人に送るような事が有っては困りますから、エドワルド様が来る前に、お説教はさせて頂きましたけれど」


 エドワルドは駆け付けた時のレオンを思い出してしまい、胸の中がモヤモヤする。


「そう言えば、リラはレオンに何を言っていたのかな?」

「王族は、どれ程嫌いな相手であろうと、公平でならなければいけない事。書簡でも該当するし、寧ろ、書面で残す事自体が危険である事。これを他人がみた場合、王族がこのように扱う相手は罪人かと疑われ、投獄されてしまった場合、王太子様はどう責任を取るおつもりなのか、王太子様は全くその可能性を考慮していなかったようですが、考えていませんでした、では済まない問題なのですよと言った事や、書簡は、脅しの道具、として使う事も出来るのですよと言った事を言わせて頂きましたけれど、それがどうかしましたか?」

「……では、私が来る直前は、一体何を話していたのかな?」

「王太子様のお顔が赤くなっていったので、お身体の調子が悪いのでは?とお聞きしましたが?」


 リラが首を傾げながらも、エドワルドの問いに答えた。
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