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本編

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「あれが、ダン殿の闘い方ですか……。感服致しました」


 バルトが感嘆する。エドワルドはバルトの教え子で、筋も良かったが、そのエドワルドを翻弄しまくり、あっさりと勝ったダンの腕前は相当な物で、バルトですら勝ち目はないだろう。

 エドワルドが鍛えて欲しいと言うのも納得だ。

 エドワルドは、マーウィンを一度で良いから打ち倒したいと言う目的の為だが、明確な目的が有る方が、吸収も早いだろう。


「まぁ、世界にはまだまだ俺の知らない剣舞や、変わった武術を使う奴だっていますからね。得物だってピンキリだし、相性の悪い奴だっている。上には上がいるって思ってる方が気楽ですよ?限界決めちまうと、そこまでですからね」

「「上、ダンの、いる?」」

「そりゃあいるだろうよ、まだ出会ってないだけで。まぁ、少ないとは思いたいがなぁ」


 双子の問いにあっさりと答えるダン。

 そんなのがゴロゴロ居たら堪らないが、出会ってもいないのだから、何とも言えないのは確かだ。


「ダン……、体力有り過ぎだろう……」


 エドワルドが息を切らせながら呟き、ダンは笑いながら答える。


「普段の仕事が仕事だからなぁ。結構体力付くぞ~」

「?普段の仕事とは?」

「俺は庭師なんですよ。良い運動になりますねぇ」

「庭師?!」


 ダンの職業を聞いて驚くバルト。


「昔は傭兵だったんですけどね。先代の庭師がじっ様だったもんで、手伝ってたら庭弄りに嵌まりまして。後は新人の護衛の指導や求人の採用試験もしますが、皆、庭師ってだけで侮ってくれるんで、最初の渇入れが簡単で済みます。相手の職業を基準にすると、お前等全員死んでるぞ、ってね」


 ニヤリと笑ってみせるダンに、ああ、成程とバルトは納得する。

 確かに護衛として入ろうとし、護衛でも無い庭師にやられたら、プライドは粉々に粉砕するだろうが、強さを自慢してるような奴には良い薬になる。

 しかもこの強さだ。

 さっきは油断しただけだと言い張る連中も、再度闘う事によって敵わない相手だと思い知らされるし、そんな連中にダンはこう言う。

 お前はもう、二回死んだ事になってるぞ。相手の強さも分からん奴等は、所詮二流だ。庭師だろうが何だろうが、強い奴は強いんだよ。世界ってのはもっと広いって事を理解しやがれ。本来、やり直しはねぇんだからな。護衛ってのは、油断して良い立場じゃねぇって事をよく頭に叩き込んどけ、と。

 そうしてダンに渇を入れられた連中は、強さを自慢する事も無くなり、ダンを慕うようになる。

 ダンとしては、別に慕って来なくても良いから、仕事はちゃんとしろよと思うのだった。
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