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本編

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 それからエドワルドは、レオンを嗾けた連中を聞き出していく。

 訪問者リストもあるし、レオンは日誌も書いていたので、誰が何を言ったのかきちんと詳細に記録をしていた。

 これは、ジルギリスが毎日、誰が訪ねて、何を言ったのか、全員分を詳細に書き込んで置くようにと言っていたからだ。そして、名前別で、誰とどんな会話をしたのか書き出していけば、次に会う時前以て確認出来るし、どんな話をしていたのかも思い出し易くなると言われたからだ。

 ジルギリスは人払いした事でも詳細に書き込んで置くように、他人に見せる為の物では無いが、将来書類作りの為の訓練として書くので、誰が読んでも解り易いように書く事、相手の癖や特徴も気付いた事は書き留める事等々、細かい注文も付けていた為、レオンはそれをエドワルドに渡した。

 まさか、こんな物が役に立つとは思っていなかったが、エドワルドがそれを見て、ジルギリス殿は多分、万が一こういう事態が起きた時の事を想定して書かせていたんだと思うぞとの発言に吃驚する。そして、これからは名前別に書き出した後は、これを提出する事も約束させられる。


「お前の信用は、今回の事でガタ落ちしたからな。信用と言う物は、何年掛かっても取り戻せない場合も有る。幾ら努力しようと、一度やった事に変わりはないし、それを消す事も出来ないからだ。だからと言って、腐るな。努力を見ていてくれる者は、必ずどこかにいる。その者を失望させるような事は、二度とするな」


 エドワルドはリラを送ると申し出て、リラは仕事の邪魔だろうからと断ろうするが、甥の不始末だし、ジルギリスからリラを家まで送る許可も貰っているからと言われて、それならと送って貰う事にして、ダン達はエヴァンス家の、リラはエドワルドと共に、クルルフォーン家の馬車に乗り込む。


「本当に申し訳ない。あいつは王太子で有りながら自覚が全く足りて無かった。まさか、あんな事をするなんて……」

「エドワルド様の所為では有りませんわ。それに、わたくしはエドワルド様が急いで来て下さったので、とっても嬉しかったです」

「……そう言えば、リラはレオンに手を伸ばしていたように見えたけれど、何をしようとしていたのかな?」

「王太子様の顔が赤かったので、熱でも出ているのかと思っただけですわ?今の時期は、風邪を引き易いので、エドワルド様も気を付けて下さいね?」

「ああ。気を付けるよ」


(リラは全く気付いていないのだな。それならそれで、態々気付かせる必要は無い。リラが私だけの物だと言う事に変わりはないのだから……)

 リラを家まで送った後、エドワルドは直ぐに王宮に引き返し、ジルギリスにお礼を言って、何事も無かったかのように仕事に戻った。
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