氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「かっ……彼等は関係有りません!!私がっ、私が勝手にした事です!」


 多くの者達の職を奪う事になるなんて、考えもしていなかったレオンは、自分の浅はかな行動の所為で、王宮から去らなければならない使用人達を何とか助けたくて関係無いと主張するが、そんなレオンの言葉をエドワルドは一蹴する。


「もう遅い。お前がこれを出す前で有れば、叱責だけで済んだだろうが、お前はこれを、未来の公爵夫人であり、現侯爵令嬢に出したのだからな。お前が知らなかったで済む問題では無い。仮にリラが他国の姫君や令嬢だった場合、戦争に発展する事も充分有り得るんだぞ。自国の者を罪人に仕立て上げたとな。お前を唆しけしかけた貴族の連中は、問い詰めた所で知らぬ存ぜぬと言い切る筈だ。勿論それで終わらせる気は無いが、周囲の者達は、お前の動向を報告する事や、諌める事も仕事に入っている。それをしなかったのは怠慢だと言われても文句は言えないのだぞ」

「でもっ……でも……」

「でもでは無い。お前が為出しでかした事は、それだけ重大な事だ。ただし、相手がエヴァンス家の令嬢であるリラだったのは、不幸中の幸いだと言える。何故ならこの事態を大事にせずに処理出来る者達へと速やかに報告する事が出来たからだ。表向きでは、何事も無かったように振る舞える。だからと言って、今回の事を何も無かったで済ませられる訳にはいかない。一気に大勢を入れ替えると余計な詮索をされる可能性もあるので徐々にだが、本来ならば職を失う程度では済まないからな。上位貴族の令嬢を罪人扱いしたのだ。死罪になっていたかも知れない事を、お前はちゃんと反省しろ!」

「しっ、死罪?!」

「当然だろう!罪も無い上位令嬢を罪人に仕立て上げて、謝罪で済むと思っているのか?!何の為の身分制度だと思っている!そもそも、こんな事が世間に知れたら、お前は王太子所か王族を除名させられる事とて可能なんだぞ!!それが無かっただけマシだと思え!」


 リラに悪い事をしたのは充分理解出来たが、エドワルドが来た事で、他者にまで害が及ぶ等少しも考えてもいなかったレオンは、本来は周囲が死罪で、自身も王族として生きて行けず、暗に罪人として幽閉か追放といった物になるような重大な事だとは思ってもいなかったようだ。

 普段何事にも動じないエドワルドが、焦って駆け付け、可愛がっている甥っ子に冷たく接する段階で、どれ程重大な失態をしたのか気付くべきだったのだ。
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