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本編

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「?王太子様、やはりお身体の調子が悪いのでは?」


 リラの言葉にエドワルドは否定する。


「大丈夫だよ、リラ。レオンは事の重大さに怯えているだけだから。それより、甥が迷惑を掛けて済まない」

「いえ、わたくしは……エドワルド様にお会い出来たので、逆に嬉しく思っていますわ」


 リラが本当に嬉しそうに笑顔を見せるので、エドワルドは甘い笑顔を返してリラを抱き締める。勿論レオンに見せ付ける為でも有るが。

 そもそも、リラを罪人にし掛けていながら、恋心を抱くだなんて、都合が良すぎる。

 リラに対する呼び出し自体、どうせどこぞの馬鹿貴族に何かを吹き込まれたからだろうが、それを真に受けたからと、こんなお粗末な書簡で呼び出し、問い質す等以ての外だ。


「レオン、取り敢えず応接室に移動するぞ。口裏合わせも必要だし、何より後見人である私の婚約者を、立たせたままでお茶の一つも出さないなんて、無礼にも程があるからな。レベッカ、お茶の用意を任せても?」

「勿論ですわ、公爵様」


 レベッカは、リラを罪人にし掛けそうになったレオンを許していない。その為、リラのお茶を飲ませたいとは思わないので、エドワルドの言葉に即頷いた。

 エドワルドは、リラの腰を抱いたまま歩き出し、応接間のソファーに並んで座り、双子達を向かいに座らせる。レオンはエドワルド側の一人掛け用のソファーだ。

 ダンは扉の前に立ち、周囲の警戒を怠らない。

 双子達は居心地が悪いのか、両手を座る部分に置いて、二人で足をプラプラさせているが、そんな姿も微笑ましい。


「ルネ、ルナ」


 リラが二人の名を呼び、メッと嗜めるように口を動かすと、二人はピシッと背筋を伸ばして手を膝の上に起き、足の動きも二人一緒に止めたのだが、二人の身体が徐々に後ろへと傾き出して、手足をじたばたさせて倒れそうな所を、エドワルドが咄嗟に立ち上がり、テーブルの上に足を置いて二人の手を掴み前に引き寄せると、二人はソファーから降りた。


「「ありがと……。食われる、思った」」


 二人が安堵の溜め息を吐く。

 ソファーに慣れない双子は、相当吃驚したようだ。

「二人共、怪我は?」


 まさか、後ろに倒れそうになると思ってなかったリラが、頭を打たなかっただろうかと思い、心配そうに聞くと、二人揃って元気に答える。


「「無い。大丈夫」」

「ダン、ここはある程度の防音が施されている場所だから、鍵を掛けてくれて構わない。二人の間に座って、二人を支えてくれないか?」

「分かった」


 ダンは扉に鍵を掛けてから、エドワルド達の方に来た。
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