271 / 805
本編
219
しおりを挟む
「?王太子様、やはりお身体の調子が悪いのでは?」
リラの言葉にエドワルドは否定する。
「大丈夫だよ、リラ。レオンは事の重大さに怯えているだけだから。それより、甥が迷惑を掛けて済まない」
「いえ、わたくしは……エドワルド様にお会い出来たので、逆に嬉しく思っていますわ」
リラが本当に嬉しそうに笑顔を見せるので、エドワルドは甘い笑顔を返してリラを抱き締める。勿論レオンに見せ付ける為でも有るが。
そもそも、リラを罪人にし掛けていながら、恋心を抱くだなんて、都合が良すぎる。
リラに対する呼び出し自体、どうせどこぞの馬鹿貴族に何かを吹き込まれたからだろうが、それを真に受けたからと、こんなお粗末な書簡で呼び出し、問い質す等以ての外だ。
「レオン、取り敢えず応接室に移動するぞ。口裏合わせも必要だし、何より後見人である私の婚約者を、立たせたままでお茶の一つも出さないなんて、無礼にも程があるからな。レベッカ、お茶の用意を任せても?」
「勿論ですわ、公爵様」
レベッカは、リラを罪人にし掛けそうになったレオンを許していない。その為、リラのお茶を飲ませたいとは思わないので、エドワルドの言葉に即頷いた。
エドワルドは、リラの腰を抱いたまま歩き出し、応接間のソファーに並んで座り、双子達を向かいに座らせる。レオンはエドワルド側の一人掛け用のソファーだ。
ダンは扉の前に立ち、周囲の警戒を怠らない。
双子達は居心地が悪いのか、両手を座る部分に置いて、二人で足をプラプラさせているが、そんな姿も微笑ましい。
「ルネ、ルナ」
リラが二人の名を呼び、メッと嗜めるように口を動かすと、二人はピシッと背筋を伸ばして手を膝の上に起き、足の動きも二人一緒に止めたのだが、二人の身体が徐々に後ろへと傾き出して、手足をじたばたさせて倒れそうな所を、エドワルドが咄嗟に立ち上がり、テーブルの上に足を置いて二人の手を掴み前に引き寄せると、二人はソファーから降りた。
「「ありがと……。食われる、思った」」
二人が安堵の溜め息を吐く。
ソファーに慣れない双子は、相当吃驚したようだ。
「二人共、怪我は?」
まさか、後ろに倒れそうになると思ってなかったリラが、頭を打たなかっただろうかと思い、心配そうに聞くと、二人揃って元気に答える。
「「無い。大丈夫」」
「ダン、ここはある程度の防音が施されている場所だから、鍵を掛けてくれて構わない。二人の間に座って、二人を支えてくれないか?」
「分かった」
ダンは扉に鍵を掛けてから、エドワルド達の方に来た。
リラの言葉にエドワルドは否定する。
「大丈夫だよ、リラ。レオンは事の重大さに怯えているだけだから。それより、甥が迷惑を掛けて済まない」
「いえ、わたくしは……エドワルド様にお会い出来たので、逆に嬉しく思っていますわ」
リラが本当に嬉しそうに笑顔を見せるので、エドワルドは甘い笑顔を返してリラを抱き締める。勿論レオンに見せ付ける為でも有るが。
そもそも、リラを罪人にし掛けていながら、恋心を抱くだなんて、都合が良すぎる。
リラに対する呼び出し自体、どうせどこぞの馬鹿貴族に何かを吹き込まれたからだろうが、それを真に受けたからと、こんなお粗末な書簡で呼び出し、問い質す等以ての外だ。
「レオン、取り敢えず応接室に移動するぞ。口裏合わせも必要だし、何より後見人である私の婚約者を、立たせたままでお茶の一つも出さないなんて、無礼にも程があるからな。レベッカ、お茶の用意を任せても?」
「勿論ですわ、公爵様」
レベッカは、リラを罪人にし掛けそうになったレオンを許していない。その為、リラのお茶を飲ませたいとは思わないので、エドワルドの言葉に即頷いた。
エドワルドは、リラの腰を抱いたまま歩き出し、応接間のソファーに並んで座り、双子達を向かいに座らせる。レオンはエドワルド側の一人掛け用のソファーだ。
ダンは扉の前に立ち、周囲の警戒を怠らない。
双子達は居心地が悪いのか、両手を座る部分に置いて、二人で足をプラプラさせているが、そんな姿も微笑ましい。
「ルネ、ルナ」
リラが二人の名を呼び、メッと嗜めるように口を動かすと、二人はピシッと背筋を伸ばして手を膝の上に起き、足の動きも二人一緒に止めたのだが、二人の身体が徐々に後ろへと傾き出して、手足をじたばたさせて倒れそうな所を、エドワルドが咄嗟に立ち上がり、テーブルの上に足を置いて二人の手を掴み前に引き寄せると、二人はソファーから降りた。
「「ありがと……。食われる、思った」」
二人が安堵の溜め息を吐く。
ソファーに慣れない双子は、相当吃驚したようだ。
「二人共、怪我は?」
まさか、後ろに倒れそうになると思ってなかったリラが、頭を打たなかっただろうかと思い、心配そうに聞くと、二人揃って元気に答える。
「「無い。大丈夫」」
「ダン、ここはある程度の防音が施されている場所だから、鍵を掛けてくれて構わない。二人の間に座って、二人を支えてくれないか?」
「分かった」
ダンは扉に鍵を掛けてから、エドワルド達の方に来た。
47
お気に入りに追加
9,266
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる