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本編

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 労いのお茶会と報告会が終了し、エヴァンス家の女性陣が家に帰ると言うが、それには陛下も反対した。屋敷の牢とは言え、犯罪者がいる家に帰るよりも、今暫く王宮にいて、ジルギリスやジーンと共に帰った方が良いだろうと。

 それにはアナスタシアやエドワルドも同意した。

 アナスタシアは、まだリラ達と共に居たいのと、エドワルドは王宮の方が義姉の様子見と言う建て前で、リラに会う時間が少しだろうと取れるからだ。

 多分、ジルギリスもジーンもまだ暫くは家に帰る事は出来ない。


「でも、エドワルド殿がエヴァンス邸に来ないとなると、周りの者が怪しみますよ?それこそドレファンの愚女に誑かされたと言われるでしょうね」

「冗談でも止めてくれ」

「冗談で済めば良いですが、リラが家に男を囲っているとか言う噂も有るぐらいですよ?無いとは言い切れませんから」


 どれ程の美姫であろうと、リラ以外に興味等無いのに、嘘や噂でも、あんな愚女に誑かされた等、寒気が走る。

 それで、他の女達に妾にしろと寄り付かれては、堪った物では無い。


「リラがここにいるのに、リラのいない屋敷を訪問するなんて……」

「わたくし、それ程長く王宮に留まりませんわよ?元々、シアお義姉様が心配だったので来たに過ぎませんから」

「リラ様……!!」


 リラの言葉に、アナスタシアが目をキラキラさせて喜ぶ。


「ですが、リラ様。わたくし、今度はリラ様が心配ですわ。ジーン様もジルギリス様も、まだまだ屋敷に帰れませんし、また屋敷に不法侵入者が現れるかも知れないのでしょう?でしたらやはり、ジーン様やジルギリス様がお帰りになられる時で無いと。それに、アレク様は帰ってらしたけれど、お仕事が忙しいので、わたくしは夜を一人で過ごさなければならないと思うの。そうなると、とても寂しいわ?」


 癒し系美女の悲しそうな顔は、さすがにリラも、どうすれば良いのかと慌ててる。

 もう一押しかしら?とアナスタシアが思い、横目でエドワルドにも引き留めなさいと、視線を送る。

 そんな視線を受け止めて、エドワルドもリラを引き留める。


「出来れば私も、リラがここに居て欲しい。ここならば、時間を掛けずに会いに来れるし、リラが近くに居てくれると思う方が、やる気も出る。幾らマッドがいると分かっていても、やはり会えない時は心配してしまうから。それに、兄上が夜来られないとなると、義姉上が少し心配になる」


 そんな事を言い、二人で王宮に引き留めた。

 ジーンが通常通り、毎日帰れそうになるまでの期間を条件に。


「まぁ、私もリラと会えるので、王宮にリラが居てくれる事の方が嬉しいですが、エドワルド殿がリラのいない屋敷に出向かないと疑われるので、私も同行しますよ。誰もいない屋敷に二人切りで会う事を許したなんて言われない為にもね」


 結婚寸前とは言え、リラは未婚の生娘だ。これ以上の悪評を言わせない為にもジーンはエドワルドに同行する事にした。
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